このように、コミュニケーションが聴覚情報から視覚情報メインに変化してくるのが認知症中期です。
ただ、中期になってからジェスチャーなどの視覚情報を初めて取り入れるのではなく、認知症疑いや初期の頃から、少しずつ意識して身振り手振りを交えて伝える練習をしておくのもおすすめです。
そのほうがお互いに慣れますし、中期以降のコミュニケーションがより円滑になっていくでしょう。
歩幅の変化や前傾姿勢etc…
転倒のサインは足に出る
認知症の人にかかわらず、高齢者にとって大きなリスクがあるのが転倒です。
転倒による骨折、とくに股関節近くの大腿骨頸部骨折は寝たきりを招くケースが多いという統計もあるため、常日頃から転倒予防のために対策をしておきたいものです。
認知症が進むにつれて、運動機能を司る脳領域の萎縮や機能低下が原因で、一歩一歩の歩幅が非常に小さくなり、すり足歩行や小刻み歩行といった歩行のぎこちなさが目立つこともあります。
また、歩行中の姿勢が前かがみになることや、体の軸がずれて斜めに歩くケースも見られ、体の重心が変化するため転倒のリスクが高まります。「突進現象」と言って、歩き始めると止まれないという傾向もあるので、周囲の人が支えるなどのサポートは必須です。
認知症後期になると外出の頻度が減っているとはいえ、日常生活のために室内を移動したり、庭に出てのんびり過ごす気分転換は、快刺激となり心の安定につながります。
動こうとする際はそばで付き添うことに加えて、生活環境の段差をなくすことや手すりをつける等、転倒対策も欠かせません。その際、認知症の人が移動する動きを観察して、支えにしやすい場所を見定めてから手すりをつけるのがおすすめです。