たとえば、よく握る棚やタンスの上には手垢がついていたり、そこだけホコリがとれていたりすることも多いので、そういう場所を目安にして、手すりを設置するといいですね。
とくに認知症の人が転倒しやすいシーンというのは、私の経験上、「トイレに行きたい」という欲求からくる場合が圧倒的に多いと感じています。
「トイレに行きたい」と思ったときにはもう立ち上がっていることが多いものです。勢いよく立ち上がって、バランスを崩してよろけて転倒してしまうというパターンもよく見られます。
寝たきりを防ぐために
見逃せない4つの兆候
ただし、認知症の人に「トイレに行きたくなったら声をかけてね」とあらかじめ伝えておいても、いざトイレに行きたいとなったらそのことを忘れてしまう可能性は高いでしょう。

「危ない!」と思った瞬間には立ち上がっていて、そのまま転んでしまった……。そんな事態を招かないために大切なのは、「先手を打つ」ことに尽きます。
トイレに行きたそうにしていないかどうか。立ち上がろうとしていないかどうか。認知症の人の様子に常に目を配り、異変がないか観察しておくこと。
具体的には、「うろうろ」「キョロキョロ」「イライラ」「そわそわ」という4つの兆候を見逃さないようにすることが大切です。
これらの兆候はトイレに行きたい欲求であることが多いので、どれか1つでもあてはまる様子に気づいたら、先回りして声をかけること。それがそのまま転倒対策になるので、ぜひ日頃から気を配って観察してみてください。