ただ、別の富裕層の方からも、ちょっと得意になって高収入をほのめかした後、税務署から問い合わせがきたので、以後自分にお金があることを口にするのは慎むようになったという話を聞いたことがある。

 お金持ちは、ただでさえ羨望の対象になりやすい。そのうえ自ら高収入をひけらかすような話をすれば、カチンとくる人がいるのは容易に想像がつく。そういう人が税務署に何らかの告発をした可能性も否定できない。

 だから、たとえ卑下したり困ったふりをしたりする形ではあっても、高収入自慢は慎むべきだろう。

同僚の昇進を心の底から喜ぶ
サラリーマンなどいない

 もう1つ気をつけなければならないのは、人事に関する自慢である。とくに正式に決まる前に、「○○に抜擢された」「昇進の内定をもらった」などと有頂天になって自慢し、マウントを取っていると、土壇場で引っ繰り返される羽目になりかねない。

小金を稼いだ開業医、飲み会でうっかり自慢したことで払った「大きすぎる代償」とは?『マウントを取らずにはいられない人』(片田珠美、PHP新書、PHP研究所)

 私の知り合いは、「正式に決まってもいないのに吹聴して回るような口の軽い奴を重要な役職に就けられない」という理由で昇進の内定をキャンセルされた。

 この知り合いは、新設のポストへの就任を上司から打診されたことがうれしくてたまらなかったのか、数人の同僚と一緒に飲みに行った際につい話してしまったらしい。

 その場にいた同僚が羨望と嫉妬にさいなまれ、上層部に告げ口したのかもしれない。それ以外にも、あることないこと悪口を吹き込んだ可能性だって十分考えられる。

 こういうことが実際にあるので、やはり自慢称賛マウントは極力慎まなければならない。何よりも、損か得かで考えるべきだ。自慢しているときは快感を味わえるかもしれないが、後で損することのほうが多い。長い目で見れば、自慢するとろくなことがない。