「家事をやれ!」「宿題をやれ!」妻子にキレまくる夫、豹変した“意外なキッカケ”は?写真はイメージです Photo:PIXTA

精神科医である筆者のもとには、人間関係で疲弊した人たちが次々に集まってくる。今回紹介するケースは、夫の度重なるダメ出しに、心も体も疲れ切ってしまった妻だ。家事から育児、日常の些細な言動まで、妻の一挙手一投足に、夫は口を出さずにいられないのだという。彼の問題行動の背後にある心理を深堀りしながら、対処のヒントを探る。※本稿は、片田珠美『マウントを取らずにはいられない人』(PHP新書、PHP研究所)の一部を抜粋・編集したものです。

おまえは専業主婦だというのに
家事も満足にできないのか!?

 30代の専業主婦の女性は、40代の夫が家事のやり方に口うるさく注文をつけ、何かにつけて「そんなことではダメだ」とダメ出しするので、参っている。

 夫は帰宅したとたん、何も言わずに掃除機をかけ始めることもあり、妻のほうは自分の掃除のやり方が気に入らないのかなと思い、落ち込んでしまった。そういうことが積み重なり、妻は何をするのもおっくうになったと訴えて心療内科を受診した。

 夫がダメ出しするのは、妻の家事のやり方に対してだけではない。子どもの教育にも細かく口を出す。教育熱心な父親ともいえるのだが、熱心すぎるところがあり、ときにはキレてしまうので、妻も子どもも困惑している。

 あるとき、小学生の子ども2人を塾に行かせなければいけないと夫が言い出した。そこで、妻がママ友から評判のいい塾を聞き出し、そこに子どもを通わせる準備を進めていた。それを聞いた夫は「そんなところはダメだ」と怒鳴り、自分で調べてきた。