2023年の法改正化まで
盗撮の刑罰は軽かった
根本的な対策が見当たらない中ではあるが、今回の衝撃的な事件がこれまでよりも深刻に受け止められているように感じられる。
ほんの15年ほど前まで盗撮は大した犯罪ではないと受け止められていた。2023年の法改正までは各都道府県の条例でしか裁くことができず、罰則も軽いものだったのがその証拠である。
スマートフォンの普及で犯行が手軽になってしまい検挙件数が増えたこと、そして何より盗撮画像や動画が簡単にネット上にアップされ、SNSを通じて拡散されてしまうといった現状から、ようやく深刻な被害と受け止められるようになってきた。
また、子どもの性被害については例えば昭和の「首都圏幼女連続殺人事件」の頃から昔から懸念されてはいたものの、一部の「変態」によるレアケースと思われて来た節もある。教師による性加害については児童や生徒が被害を訴えても虚言を疑われたり、「証拠がない」として不問にされることもあった。
子どもに接触するために教育や児童福祉の現場を選ぶ小児性加害思考の持ち主が実際に少なからずいるという現実は、おそらくこの数十年の中で今が一番共有されているだろう。
解明しなければならないのは、なぜ彼らが子どもに執着心を持つのか、あるいはなぜ盗撮をやめられないのか、だ。
スマートフォンが普及してから検挙件数が増え、SNSで画像をやり取りできるようになったことで「仲間内で盗撮の成果を共有し盛り上がることで承認欲求が満たされた」と語る加害者がいるように、社会の変化は加害者の思考や言動に影響を与える。
学校現場での犯行が多いのは、彼らにとってその場所が「安全」に犯行に及ぶことができる場所であるからに他ならない。
教員不足が指摘される中、教育現場に突きつけられた課題は重い。しかし現場や関係機関だけの問題とせず、社会全体で考えていくことが必要だ。