「令和の米騒動」と「JA全農悪玉論」の真相、補助金の出し方は適切なのか?【池上彰・増田ユリヤ】2025年6月20日、輸出関係連絡協議会で話す小泉進次郎農林水産相 Photo:JIJI

「令和の米騒動」、値下がりするも元には戻らず

池上 コメの価格が例年の2倍近くにまで上昇するという「令和の米騒動」。政府は備蓄米を放出することで需要と供給のバランス、そして価格の調整を試みています。

増田 小泉進次郎農林水産相による5月末の備蓄米の販売開始以降、コメの価格は下落し続けているものの、まだ元の「5キロ2000円台」までは下がっていません。

 以前コメの取材をした際に、「消費者は普段食べ慣れているコメをおいしいと感じる」のだと聞きました。「いつも食べている銘柄米を、いつも通りの価格で買いたい」という消費者の要望もあります。問題は、なぜそれがかなわなくなっているのか、です。

池上 当初は、2024年の夏に南海トラフ地震臨時情報が発表されたことを受けて、「いざというときのために、前もって買い置きしておこう」と考えた人が増えたことで通常よりも需要が増え、売り場からコメが消えたといわれていました。あるいは外国人観光客が増えたことにより、外食産業のコメの需要が増えたために、やはり少し多めに仕入れたことが回り回って供給不足と価格高騰につながった、猛暑の影響で不作だった、という解説もありました。

増田 「秋になって新米が出回るようになれば解消する」ともいわれていましたが、事態は好転せず、現在に至ります。政府は2月に備蓄米の放出を決めました。備蓄米とは、いざというときのために蓄えている古米や古古米のことです。当初は競争入札でJA全農(全国農業協同組合連合会)が9割以上を購入していましたよね。