
「うな重」はどのように誕生したのでしょうか? 重箱の大きさと、ウナギのサイズの関係をひも解きながら、うな重が誕生した歴史を振り返ります。
※本稿は、高城 久『読めばもっとおいしくなる うなぎ大全』(講談社)の一部を抜粋・編集したものです。
うなぎのサイズはPで表す
魚の数え方はいろいろあります。うなぎの場合は1匹、2匹と数えるのが一般的ですが、活鰻(かつまん、生きているうなぎ)は頭から尾まで揃っているので1本、2本と数えることもあります。また、うなぎ屋では料理の材料なので「尾」(び)と数える場合もあります。
では、うなぎのサイズを表す規格をご存知ですか。答えはP(ピー)。Pはピースの略で1kgあたり何匹入っているかを表したものです。3P(さんピー)なら3匹、4P(よんピー)なら4匹。4Pより3Pのほうが重い=大きいうなぎです。この仕分け作業は、うなぎ問屋の重要な仕事です。
うなぎ問屋と言われて「うなぎ専門の問屋があるの!?」と驚かれた方も多いと思います。うなぎ問屋には大きく分けて4つあります。
(1)シラスウナギ(赤ちゃんうなぎ)をシラス漁師から買って養鰻場(ようまんじょう)に卸おろすシラス問屋
(2)養鰻場から活鰻を仕入れて各地へ卸す産地問屋
(3)産地問屋から活鰻を仕入れて専門店へ卸す消費地問屋
(4)輸入した活鰻を消費地問屋へ卸す輸入問屋
問屋ですからうなぎの卸売が主な仕事ですが、他にもさまざまな役割を持っています。私たち消費者の一番身近にあるのが消費地問屋ですが、日常生活の中であまり目にすることのない消費地問屋の仕事を鰻問屋もがみ(千葉県柏市)を例に覗いてみましょう。
問屋の朝は早く、真夜中から始まります。まず、配送された活鰻を梱包されたビニール袋から出す袋開け。この数が半端ない。問屋では20kgを1本と数え、少ない日でも25本にもなります。繁忙期は想像を絶する数となるのです。
次に袋開けしたうなぎを立てる。問屋やうなぎ屋ではうなぎを活かしている場所を立場(たてば)といい、立場に移す作業を立てるといいます。5kgに分け養鰻篭(ようまんかご)に入れて重ねて井戸水をかけ流し、鮮度を保ちます。
続いて検品。この作業は配送日以外も必ず行う大事な作業。うなぎの鮮度が保たれているか、弱っていないかを1匹ずつ確認して検品します。そして、お得意さんの注文に合わせて、仕分け・選別作業。産地問屋でおおまかに仕分けされた活鰻をさらに得意先の要望に沿って、素早く痛まぬように手作業で選別し、配送します。
最後に、うなぎ捌き。うなぎ捌きはとても体力のいる作業です。若い職人でも腰痛や肩こりに悩まされており、高齢のベテラン職人となればなおのこと。自ら捌くことが難しくなった職人を手助けするのも問屋の大切な仕事です。
このように問屋は、おいしいうなぎを食べるためには欠かせない存在です。