「同じ仕事をしているのに、あの人は毎日サクッと定時で帰る。なのに自分は、今日もなんだかんだで残業……」そんな焦りやストレスを抱いたことはありませんか? 実はその差は能力や努力ではなく、考え方の習慣にあるかもしれません。
やる気はあるのに、行動がついてこない。そんな私たちの悩みに心理学の観点から解決策を導き出す本が、新刊『すぐやる人の頭の中──心理学で先延ばしをなくす』。著者は、モチベーションの研究を専門とする筑波大学人間系教授・外山美樹氏。本記事では、同書の担当編集者が、本書の内容をもとに、「行動を加速させる心理テクニック」を紹介します。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

定時で終わる人といつも残業の人「差がつく理由」
「なぜ、あの人は毎日定時で終わるんだろう?」
同じ量の仕事をしているはずなのに、サクサクといくつもの仕事を片付けて夕方には帰っていく同僚。
かたや自分は、なんだかんだで気づけば、今日も残業。こうしたことでストレスを感じる人も多いはずです。
実はこの差は、心理的な習慣の違いから生まれているのかもしれません。
鍵を握るのが、新刊『すぐやる人の頭の中』で解説している「実行意図」というテクニックです。
だらだらの原因
「資料、早めに作らなきゃな…」
「あ、メールを返信しないと」
「あとで時間ができたら片づけよう」
「今日中には終わらせたいけど…」
こんなふうに「やるつもり」はあっても、つい他の仕事に気を取られてしまったり、タイミングを逃したりするうちに、時間だけが過ぎていることってありますよね。
実はこの「ぼんやりとした意志」こそが、行動の遅れやダラダラ残業の原因なのです。
実行意図とは?
実行意図とは、「もし○○したら、△△をする」と具体的な状況と行動をセットで決めておく心理的なテクニックです。
例えば、
「ランチから席に戻ったら、プレゼン資料を作成する」
「10時からは、打ち合わせの資料を作成する」
というふうに、行動を開始するための「きっかけ」を先に決めておくのです。
あらかじめ「もし〇〇したら、△△する」と計画しておくことで、脳が「自動実行モード」に切り替わり、迷いなく行動できるようになります。
小さな計画が積み重なり、作業がスムーズに流れていけば、結果的に、無駄な思考や中断が減り、時間を有効に使えます。
今日から、「実行意図」を活用してみませんか?
あなたが今日やっておきたいことは何ですか?
ぜひ、「○○したら、△△する」という実行意図の形式で、今日やることをメモや手帳に書き出してみてください。
行動を開始するトリガーを作っておくだけで、行動のスピードが上がることを実感できるはずです。