「マネジメントに疲れた……もう管理職をやめたい」――もしあなたがリーダーとしてこうした悩みを抱えているなら、ぜひ一度立ち止まってご自分の気持ちと向き合ってみてください。この記事では、新刊『なぜ、あなたのチームは疲れているのか?』から抜粋しながら、誰もが心のなかにもっている「願い」を再発見して、もう一度エネルギーを取り戻す方法をお伝えします。
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見失った「願い」を再発見する
リーダーの仕事は簡単ではありません。
リーダーがどんなに精一杯頑張っても、思うようにチームが機能してくれることなど、ほとんどありません。常になんらかの問題を抱え、軌道修正をし続けるのがチーム・マネジメントというものなのです。
そのため、ときとしてリーダーの心理的リソースが枯渇してしまう瞬間が訪れるのは、避けようのないことです。「もうリーダーなんてやめて、いちプレイヤーに戻りたい」「このチームのために、これ以上やってられない」などと思ってしまったとしても、それはごく自然なことです。
そんなときは、改めて自分のなかにある「願い」に目を向けてみてください。
人がエネルギーを失うのは「自分の願いは叶わない」と感じたときや、「自分の願いを見失った」ときです。ですから、エネルギーが湧いてこないと感じたときには、もう一度、自分のなかに存在している「願い」に目を向ける必要があるのです。
仕事に忙殺されるなかで見失っていた「自分の願い」に気づくことができれば、もう一度、心理的リソースを回復させるヒントを見つけることができるはずです。そこで、ここでは、見失ってしまった「自分の願い」を再発見するために有効な「5つの問い」をご紹介します。
1 他者との比較
【問い】最近「羨ましいな」「素敵だな」と感じた人は誰ですか?
それはなぜですか?
たとえば、チームで素晴らしい成績を収めており、メンバーからの人望も厚い他部署のリーダーを見たときに、心がざわついたりしないでしょうか。
それは、「憧れ」でしょうか? あるいは、「嫉妬まじりの憧れ」といったところでしょうか? いずれにせよ、こうした感情の奥には、自分の「本当の願い」が隠れていることがよくあります。
そして、その「願い」を炙り出すためには、「あの人の何が素敵だと思うのか?」「あの人の何に嫉妬しているんだろう?」などと考えてみるといいでしょう。「メンバーと自然に話している姿が羨ましい」のだとすれば、「そのような関係性をメンバーとつくりたい」というのが、あなたの「本当の願い」なのかもしれません。
あるいは、「あの人のようにはなりたくない」という人もいるかもしれません。
たとえば、他部署に、人を蹴落として出世したリーダーがいたとします。そして、「あんなふうにはなりたくない」と思うのならば、その裏には「正々堂々と勝負したい」「誠実でありたい」という願いがあるのかもしれません。このように、「イヤだ」と感じることの裏側にも、大切にしたい価値観が隠れているのです。
2 未来への想像
【問い】「最高の1年後」を想像してみてください。
そのとき、何が起こっていますか?
チームの業績がずっと低迷していると、メンバーのやる気が信じられず、ついつい責め立てたいような感情をもってしまうことがあるかもしれません。そんなときには、ぜひ「最高の未来」を想像してみてください。
もしかすると、「チームの目標を達成して、メンバー全員で楽しく乾杯しているシーン」が思い浮かぶかもしれません。そのイメージに心がワクワクするようだったら、それこそがあなたの「本当の願い」なのかもしれません。
だとしたら、今あなたがやるべきことは、「メンバーを責め立てる」ことではありません。「メンバー全員で楽しく乾杯しているシーン」から逆算して、今、メンバーに対してどんな働きかけをすれば、チームが元気になるかを考えるべきなのです。
あるいは、「このチームから異動して、新しい環境で再スタートしている」という未来像が浮かんできて、せいせいした気持ちになるかもしれません。それはそれでいいのです。「再スタートをするなら、どんな環境がいいかな?」と想像することで、自分の「願い」を発見することができるはずだからです。
3 感情の揺れ動き
【問い】最近、感情が動いたのはどんな場面ですか?
それはどんな願いが満たされた(満たされなかった)からですか?
仕事をしていると、「嬉しい」「悲しい」「腹が立つ」などと感情が揺れ動くのを感じることがあるはずです。その一つひとつの感情の裏側には、あなたが日頃、胸に秘めている「願い」が存在しているかもしれません。
たとえば、上司に「君のところのメンバーはやる気あるの?」と言われて腹が立ったとしましょう。



