世界の富裕層たちが日本を訪れる最大の目的になっている「美食」。彼らが次に向かうのは、大都市ではなく「地方」だ。いま、土地の文化と食材が融合した“ローカルガストロノミー”が、世界から熱視線を集めている。話題の書『日本人の9割は知らない 世界の富裕層は日本で何を食べているのか? ―ガストロノミーツーリズム最前線』(柏原光太郎著)から、抜粋・再編集し、日本におけるガストロノミーツーリズム最前線を解説。いま注目されているお店やエリアを紹介していきます。
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日本の食のレベルが世界水準である理由
実際、日本の食のレベルの高さは海外から高く評価されており、「世界のベストレストラン50」や「ミシュランガイド」において、数多くのレストランがお墨付きを得ています。
たとえば、2025年版「世界のベストレストラン50」では、「SEZANNE(セザン)(東京)」「NARISAWA(ナリサワ)(東京)」「Floril●e●ge(フロリレージュ)(東京)」「La Cime(ラ シーム)(大阪)」などの料理店がランクインを果たしており、中には継続的にランクインしている店もあります。
「ミシュランガイド」については、読者のみなさんもよくご存じだと思います。世界で初めてフランス語圏以外で発行された『ミシュランガイド東京2008』は、世界中に衝撃を与えました。
なぜなら、ミシュラン史上最多の星の数を東京がいきなり獲得したからです。初年度から本家・パリを抜き、8軒が三つ星を獲得。それにより、「世界一の美食都市は東京か?」という論争を巻き起こしました。
美味しいレストランは2番手に日本人シェフがいるという噂
たしかに、古くから日本人シェフの腕は評価されており、たとえばパリで美味しいレストランを探すためには、「2番手、3番手に日本人シェフがいる店へ行け」と言われたものです。
というのは、一番上のシェフというのは、全体を監督するのが仕事なので、基本的には自分で手を動かしません。それに代わって料理を作るのは、2番手、3番手です。そのため、くだんのようなことが美食好きの間では当然の合言葉となっていたのです。
このように、以前から関係者の間では周知の事実となっていた「日本人シェフの店って、美味しいよね」ということが、『ミシュランガイド東京2008』によって日の目を見たのです。
そして、その事実はさらに勢いを増し、現在もミシュランの星の数の合計数は東京が世界一です(東京・170軒、2位パリ・121軒。三つ星も東京12軒、パリ10軒。2025年版)。
さらに、星付きレストランの人口比世界一は京都です(人口1.46万人に対して1軒。2位はパリで1.72万人に1軒)。
このように、東京や京都をはじめとする大都市が、美味しい都市として世界に君臨している理由は、大きく3つあると私は考えています。それについては、次回お話しましょう。
※本記事は、『日本人の9割は知らない 世界の富裕層は日本で何を食べているのか? ―ガストロノミーツーリズム最前線』(柏原光太郎著・ダイヤモンド社刊)より、抜粋・編集したものです。






