勉強、仕事、筋トレ…やる気はあるのに先延ばししてしまう。多くの人が抱えるこの悩みに、心理学の視点から答えるのが、新刊『すぐやる人の頭の中──心理学で先延ばしをなくす』です。著者は、モチベーションの研究を専門とする筑波大学人間系教授・外山美樹氏。本稿では、本書より一部を抜粋し、「モチベーションを高める目標の持ち方」を紹介する。

モチベーションが上がらない時は、「なぜ、やるのか?」を自分に問いかける
モチベーションが下がった時や、誘惑に負けそうになった時には、その行動をとる理由を意識的に考えるようにしましょう。
そうすることで、モチベーションが高まり、誘惑に負けない強い気持ちをもてることがわかっています。
大事にしていた目標を、頭の片隅へ追いやっていませんか?
目標に向けた行動をとっている時には、どうしても、行動そのものに注意が向き、背後にある目標を忘れがちになります。
そこで、モチベーションが下がった時や誘惑に負けそうになった時、あるいは、その行動を行うことがつらい時には、そもそも、自分が「なぜ」その行動に取り組んでいるのかを意識的に考えるようにしましょう。
たとえば、日々勉強をしている高校生がなぜ勉強をしているのかというと、それは「よい成績をとる」という目標のためであり、なぜ、よい成績をとりたいのかというと、それは、「志望大学に入る」という目標のためであり、さらにそれは「自分の夢である看護師になる」というより大きな目標のためになります。
ダイエット中に美味しそうなデザートが載ったお皿が目の前に現れたら(なんという誘惑でしょう!)、減量を決意した理由を思い出しましょう。
同じように、資格取得のための勉強をするのはなぜか、運動をするのはなぜか、禁煙をするのはなぜか、を考えてみましょう。
誘惑に負けそうになったら、自分の夢や目標を思い出すことで、誘惑に立ち向かうモチベーションが湧いてくることでしょう。
勇気をもって目標を手放すことも必要
また、「なぜ」を考えることで、無駄な目標をあきらめることにもつながります。
仮に、達成を目指すだけの理由がないのだとすれば、もはやその目標を追求する必要はなくなります。
人間には「一度始めた行動はなかなかやめられない」という習性が備わっています。それが、不適応的な行動であっても、です。継続時間が長くなればなるほど、目標をあきらめにくくなります。
みなさんは、邁進する必要がない目標に、いつまでもこだわっていたりしていないでしょうか? よく考えてみてください。
ひたむきな努力は素晴らしいことです。
しかし、もしもその努力が、自分にとって本当に必要な目標と結びついていないとしたら、少し立ち止まって見直すことも大切な選択です。
これまで専念してきたことから自分を解放してあげましょう。
一時的には負の感情を伴うかもしれません。新しい目標を見つけて、それに合わせて行動を変えることは、容易なことではないかもしれません。
しかし、繰り返し言いますが、時間や労力は決して無限ではありません。自分のために、より重要な目標に、時間やエネルギーを割くことを考えましょう。
優先順位の低い目標や、ある程度頑張っても達成できない目標をあきらめる勇気をもちましょう。きっぱりあきらめることは、頑張るのと同じくらい重要なことです。
では、ここで、あなたがなぜその目標を目指して頑張っているのか、その理由について考えてみて、次のスペースに書き込んでみましょう。
※本稿は、『すぐやる人の頭の中──心理学で先延ばしをなくす』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。