2015年の発売以降、今でも多くの人に読まれ続けている『ありがとうの神様』。本書は、小林正観さんの40年間に及ぶ研究のなかで、いちばん伝えたかったことをまとめた「ベスト・メッセージ集」だ。あらゆる悩みを解決する「ありがとう」の秘訣が1冊にまとめられていて、読者からの大きな反響を呼んでいる。この連載では、本書のエッセンスの一部をお伝えしていく。

「お金」+「友人」=100
アメリカの雑誌が、100万ドル以上の宝くじが当たった人「100人」を追跡調査したことがあるそうです。
宝くじが当たる前と同じ職業についていた人は、農夫ひとりだけ。残りの99人は、波乱の人生を歩んでいたそうです。
半数以上は、妻あるいは子どもから、「半分よこせ」「遺産相続の権利があるので、父親の勝手な散財は許さない」と訴訟を起こされ、係争中とのこと。
スロットマシーンで、数十億円当てた女性がいました。この人は、クルマの追突事故に遭い、生死の境をさまよっています。
事故を起こす前まで、毎晩夜中の2時、3時、4時まで、「友人からの借金の申し込み」の電話に悩まされていたそうです。
レストランに行けば、多額のチップを要求されました。3ドルのコーヒーを飲むのに、100ドルのチップを要求されたこともあったそうです。
こうした悩みが積み重なって、睡眠不足に陥り、注意力が散漫になっていた。だから、自動車事故を誘発してしまったのかもしれません。
資産が1兆円以上ある大富豪がいます。この人がどのような生活をしているかというと、防弾ガラス付きのクルマで、防弾ガラスで覆われた会社に行って、防弾ガラスの家に帰る、という生活です。レストランで会食をするときは、貸し切りです。そして、ボディガード20人が取り囲む中で、食事をします。
食事を終え、仕事の打ち合わせを済ませ、家に帰るときも、防弾ガラスのリムジンに乗り込みます。この大富豪は、「いつ、テロリストに襲われるかわからない」「いつ、誘拐されるかわからない」という状態の中で、孤独を感じながら生きているそうです。
私の知人に、ある有名な俳優がいました。その俳優が売れる前までは、友人としてどこかへ出かけたり、喫茶店で長話をすることもありました。しかし、その人が売れるようになってからは、私だけでなく、ほかの人も彼と会うことが少なくなりました。
この人を嫌ったからではなく、むしろ、まわりの人たちのやさしさからです。
まわりの人たちは、やさしさゆえに、「その人の1時間がどれほどの時間であるか」「どれだけの価値があるのか」を、計算するようになっていました。
社会的に立場が上がって、たくさんのお金を得るようになったことがわかってくると、まだ若かった当時の友人は離れていきます。
精神的には遠ざかっていないかもしれませんが、具体的な時間としては離れていく。
お金を格段に稼ぐわけでもなくて、普通の人の状態でずっと人生を送っていくと、貧しかった当時の友人がそのままついてきます。つまり、お金と友人の関係は、このような方程式であらわすことができます。
「お金」+「友人」=100
原則的に、お金と友人を両方手に入れることはできません。お金を手に入れたら、多くの場合、友人が減っていきます。
1兆円の大富豪がそうだったように、地位も財産も全部手に入れたかわりに、「孤独」になるのです(例外的に、お金持ちでも、自分から出かけて行ったり、他人を受け入れるタイプの人は、友人が減りません)。
だから、「貧しさ」=「友人がたくさん」と考えることができます。人生の目的は、よき仲間に囲まれること。
だとすれば、お金をたくさん持っているからといって、必ずしも幸せだとは言い切れないのです。