2015年の発売以降、今でも多くの人に読まれ続けている『ありがとうの神様』。本書は、小林正観さんの40年間に及ぶ研究のなかで、いちばん伝えたかったことをまとめた「ベスト・メッセージ集」だ。あらゆる悩みを解決する「ありがとう」の秘訣が1冊にまとめられていて、読者からの大きな反響を呼んでいる。この連載では、本書のエッセンスの一部をお伝えしていく。

ありがとうの神様Photo: Adobe Stock

自分で努力をしてお金を貯めるよりも、「お金を貸してくれる仲間」を増やす

 私の友人に、15年ほど、給料で雇われている「宿の経営者」がいました。

 その人は、年間の宿泊者を1300人から3900人に増やしました。ただ、宿にどれほど貢献しても、友人の給料は変わらなかったのです。

 私は、彼の経営手腕を埋もれさせるのはもったいないと思い、「独立をしたらどうですか?」と提案しました。

 しかし彼は、「自己資金がない」からといって、気乗りしません。

そこで私は、「自己資金などいりません。お金を出してくれそうな人に、『自分はこれから宿をやるのですが、30万円のポケットマネーを出してください』という手紙を書くといい」と話したのです。この30万円は、出資ではありません。友人としての寄付です。

 それでも彼は、「そんなことはできない。自分の力でやるのが筋だ」と、私の提案を拒否しました。

 それから3年たちましたが、お金が全然貯まらなかった。そこで、ようやく私の言うことを聞き入れて、手紙を書くことにしたのです。

 彼は、「もし、誰からもイエスと言ってもらえなかったら、どうしよう」と心配するので、私は、こう言いました。

「ひとりも返事がなかったら、宿をやってもうまくいきません。今まで15年間も宿を経営してきて、何万人ももてなしてきたはずです。それなのに、信頼関係を築いた人が50人もいないのであれば、宿をやっても、人が来るわけがないじゃないですか」

 彼は「なるほど」と納得し、手紙を出すことにしたのです。

 私のところにも手紙が届きました。私には、最初に手紙を書いたようです(笑)。もちろん、私もお金を出しました。

 では50人に手紙を出して、どれくらいの数の「イエス」が集まったと思いますか?

 答えは、100%。彼はたった3日間で、1500万円を集めたそうです。

 この話には、続きがあります。彼の義父が大企業の重役をしていました。義父は、3日間で1500万円を集めた婿を「すごい奴だ」と見直し、「そんなにすごい男だとは知らなかった。私も力になろう」と、「8500万円」も出してくれたそうです。

 彼は、自ら集めた1500万円と、義父からいただいた8500万円を合わせ、1億円で宿を建てました。

 一所懸命頑張って、自分で自己資金を貯めるという考え方は、やめてもいい。電話1本で「100万円出してくれる人」が100人いたら、1億円のお金ができます。

 私自身も、「株式会社SKP」をつくるとき、知り合い4人に「お金は出すけれど、口は出さない出資者になりませんか?」と電話をかけました。すると、15分間で1000万円を出してくれる人が決まり、3日後には会社を設立する資金が集まりました。

 すべて自分の力だけでやる、という考えは、「自惚れ、驕り、高ぶり、傲慢」です。なぜ、人を当てにしないのですか?

 人を頼りにすればいいではありませんか。他人を頼ることができないとしたら、それは、自分が他人を許さないからです。甘えさせないからです。

「困ったときに、自分を支えてくれる人」をいかに増やしていくか。それが人生を楽しいものにしてくれるのです。