栄東の新方針と千葉の実態

 栄東[A日程]は、新型コロナ禍で「密」防止のため2日間に分割され、いずれかを選んで受ける運用だった。ところが24年と25年は、10日が東大クラス中心(偏差値61)、11日が難関大クラス(同57)と募集対象が分かれた。そのため、上段には11日を、下段には両日の合計値を載せた。11日は24年1525人・1.9倍から25年2279人・2倍へ受験者数が5割も増えており、中堅校へのニーズの勢いがうかがえる。

 埼玉の偏差値60以上の男子入試回は、12日の栄東[東大特待 I ]66、11日の開智[創発クラス(特待A)]60くらいしかない。難関・上位校志望の男子受験生の出願先として、栄東[A日程]の10日は重宝されているのだが、25年は3439人・1.5倍と受験者数が24年より221人減っているのは難関離れの影響があるかもしれない。それを11日が補って余りある形となった。こうした状況を反映してか、26年入試では入試名称が変更される。全国最多の出願者数・受験者数を誇った[A日程]は、10日[ I(東大・難関大)]と11日[ II(難関大)]となり、[B日程]は16日[ III(難関大)]となる。

 埼玉栄は、17位に10日午後[2回医学クラス](423人・1.6倍)と19位に10日[1回医学クラス](418人・1.5倍)が入っている。10日は他に[難関大クラス][進学クラス]が、10日午後は[難関大クラス]の入試区分もある。受験者数合計は、10日830人、10日午後が665人で、受験者数・実倍率いずれも安定している。偏差値40台半ばの中位校として26年も人気が継続するだろう。

 埼玉では他に、大宮開成が6位10日[1回](1172人・1.6倍)と20位12日[特待生選抜](407人・6.4倍)に、獨協埼玉が16位11日[1回](611人・1.3倍)にあるだけで、開智学園と佐藤栄学園の学校の入試に多くの受験生が集まる寡占化が進んでいる。

 図1に千葉からは、13位専修大学松戸[1回]、14位芝浦工業大学柏[1回一般]、15位昭和学院秀英[1回]、17位千葉日本大学第一[1期]の4校の入試回だけだった。東京や神奈川からお試し受験生が集まる埼玉と、地元中心の千葉との違いがはっきり示されている。

 受験者数が増えて実倍率も上昇傾向にあるのは22日の昭和学院秀英[1回]のみだ。隣接する千葉の絶対的エース、22日の渋谷教育学園幕張[一次]は偏差値70とハードルが高い。同59の昭和学院秀英と渋幕とで、難関・上位層の受験生を分け合う様子がうかがえる。

 他の3校は受験者数が減少傾向にある。実倍率1.9倍を保つ千葉日本大学第一[1期]以外は、だいぶ緩和している。26年入試でも、専修大学松戸芝浦工業大学柏は偏差値50台半ばで実倍率2倍台を維持するだろう。