例えば、あなたが良かれと思って行った対応について、上司から咎められる可能性も十分にあります。

 かばってくれない上司は保身傾向が強いので、あなたが独自に動いたことで、自分に害がおよぶようなことにでもなれば、後から言いたい放題あなたのことを責めることになるでしょう。

 こんな状態ではあなたがどう対応しても、あなたのためになりません。上司がかばってくれないだけならまだしも、後ろからあなたのことを撃つようなことをしてくるリスクを考えておく必要があります。

上司に報告する際は
メモで証拠を残す

 かばってくれない上司に不信感を持ったり、頼りなさを感じるのは当然ですが、カスハラ対応について逐次報告はしておきましょう

 報告をしておくことで、上司が自分は聞いていなかった、知らなかったと言うのを防ぐためです。

 口頭の報告では聞いてなかったと言われる可能性もあるので、書面で残しておくとよいでしょう。書面といっても社内様式に則った正式なものである必要はありません。メモ書き程度で十分です。

 そして、メモを上司が見たことがお互いにわかるようにしておくことも大切です。例えば、メモを上司の机の上に置いた状態の写真を撮っておくといいでしょう。

 カスハラ対応で忙しいし、精一杯なのに、上司のためにこんなことをしなければいけないなんて何とも腹立たしいことですが、これはあなた自身を守るために必要なことだと割り切りましょう。

「誠意を見せろ」は
都合の良い常套句

「誠意を見せろ」とはカスハラ加害者が言いがちな言葉として知られていますし、実際使われるケースも多いです。

 この「誠意を見せろ」は、カスハラ加害者にとって2つの側面があります。1つは都合の良い言葉として、もう1つは思考停止の言葉です。

 都合が良いというのはどういうことでしょうか。

 それはカスハラ加害者が本当は言いたいけれど、言うと犯罪になり得てしまいそうなことをオブラートに包める都合の良さです。

 例えば、本当は金品を要求したくても、金品を直接的に要求してしまうと恐喝罪などに問われる可能性が出てしまいます。それはカスハラ加害者の望むところではありません。