米起業家イーロン・マスク氏とドナルド・トランプ米大統領の決別からわずか2週間後、マスク氏の宿敵がスーツを着て満面の笑みを浮かべながら、トランプ氏のゴルフクラブのダイニングルームに大股で入ってきた。米新興企業オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は、トランプ氏と2人きりで長時間の会談を終えたばかりだった。2人はトランプ氏の主要献金者らとこれから会食しようとしていた。トランプ氏はクラブ会員が拍手する中、アルトマン氏を「非常に才能ある男」だと紹介し、こう続けた。「AI(人工知能)に関して彼の目にきっと狂いはないだろう」6月に受けたこの温かい歓迎とは裏腹に、トランプ氏が大統領選に勝利して最初の数週間、アルトマン氏は冷遇されていた。オープンAIの共同創業者であるマスク氏とは疎遠になっており、マスク氏が新たにトランプ氏の「ファースト・バディ(相棒)」の座におさまったため、アルトマン氏はトランプ氏のフロリダ州の私邸「マールアラーゴ」で開かれる会合から締め出され、大統領就任式では他のテック企業経営者と共に壇上に並ぶことなく、予備スペースに控えていた。