国連事務次長の中満泉や
野村証券、三井住友FG副社長も

【フェリス女学院高校】華麗なる卒業生人脈!国連事務次長の中満泉、サザンの原由子、たかまつなな…国連事務次長の中満泉 Photo:SANKEI

 横浜市中区にある中高一貫の私立女子校だ。1870年の創立で、私立女子学院中・高校(東京都千代田区)と並び、女子校としては日本最古の伝統を誇る。

 男女、官民を問わず、日本人で今、国際的な活躍が最も目立つ人物といえば中満泉(なかみつ・いずみ)であろう。国際連合の事務次長で軍縮担当上級代表だ。日本人の国連職員の中では最高位だ。

 中満は、フェリス女学院高校在学中から国連職員を目指していたという。早稲田大法学部を経て、米ジョージタウン大で修士の学位を取得し、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に入所した。旧ユーゴやアフガニスタン、シリアなどの紛争地を飛び回り、国連のキャリア職員としてPKO(国連平和維持活動)/安全保障分野や人道支援分野など、さまざまなポストを歴任した。

 2017年5月、国連の事務総長・グテーレスから事務次長に指名された。日本人女性が軍縮担当のトップに就いたのは、初めてだった。18年には米フォーチュン誌が発表した「世界で最も偉大なリーダー50人」の一人に選ばれた。

 国連の現状は、創設メンバーの大国が自ら国連憲章を公然と破り、平和の番人であるはずの安保理も常任理事国の拒否権の応酬によって機能不全に陥って久しい。創設80年の国連をいかに立て直すか、中満に寄せられる期待は大きい。

 国連の国際公務員として活躍した日本人としては、事務次長、事務総長特別代表を歴任した明石康、国連難民高等弁務官を務めた緒方貞子が挙げられる。

 中満は国際社会で「ガラスの天井」を突き破ってきたわけだが、女性のキャリアアップがなかなか進まない日本の経済界でも、女性のエグゼクティブがようやく育ってきた。

 鳥海智絵は、2014年4月から野村証券グループの野村信託銀行社長に就いた。邦銀で女性初のトップだ。フェリス女学院高校を経て早稲田大卒後の1989年に、野村証券の女性総合職2期生として入社した。300人以上の同期の中で女性は7人だった。米スタンフォード大に留学した。23年4月からは野村証券初の女性副社長だ。

 フェリスで鳥海の1期先輩の工藤禎子は、14年4月に三井住友銀行で女性初の執行役員になった。慶応大経済学部を卒業、旧住友銀行が87年に採用した女性総合職の1期生として入社した。

 工藤は23年6月までトヨタ自動車の社外取締役も兼務した。トヨタ初の女性取締役だった。24年には三井住友フィナンシャルグループ副社長・三井住友銀行副頭取に昇格した。両ポストとも「代表権」付きだ。

 郷野晶子は22年11月、世界最大の労働組合の国際組織であるITUC(国際労働組合総連合、本部:ベルギー・ブリュッセル)の会長に就いた。任期は4年。郷野はゼンセン同盟(現UAゼンセン)書記局に入り、UAゼンセン副会長などを務めた。

 郷田まり子は東大建築学科卒で、建築デザイン事務所を経て夫とともに遺伝子関連のハードウエアやコンピューターソフトの開発を手がけるベンチャー企業・鳥人間を設立した。

 芝山みよかは、大正から平成時代にかけ東京都で美容室を経営し、美顔術やエステティックの普及に努めた。「エステの母」とも呼ばれ、日本美容界の草分け的存在だ。旧制フェリス卒で、2009年に101歳で死去した。