今年1月に芥川賞を受賞した
21世紀生まれの鈴木結生

 福岡市にある男女共学の県立高校だ。240年余の伝統を背景に、政官・経済界などに多くの人材を送り込んできたが、文化人、学者などとして活躍する卒業生も数多い。

 文芸で気を吐いている。

【修猷館高校】華麗なる卒業生人脈!芥川賞受賞の鈴木結生、作家のブレイディみかこ、女優の井桁弘恵…《文化人&学者編》女優の井桁弘恵

 2024年下半期の第172回芥川賞の発表が、25年1月にあった。修猷館高校OBの鈴木結生(ゆうい)が「ゲーテはすべてを言った」で受賞した。01年に福岡市に生まれ、福島県で育つ。西南学院大に進学、24年に同大大学院外国語学研究科(英文学専攻)に進み、在学中だ。21世紀生まれとしては初の受賞だ。

 63年前の第46回下半期の芥川賞を受賞したのは、「鯨神」を著した小説家の宇能鴻一郎だった。1934年生まれで、24年8月に90歳で死去した。修猷館高校を経て東京大文学部国文科卒。東大大学院博士課程を68年に満期退学した。芥川賞受賞後は、純文学の筆を折り、官能小説・推理小説に傾斜した。

 修猷館OBには、直木賞作家も出ている。昭和時代の小説である梅崎春生だ。「ボロ家の春秋」で54年下半期に受賞した。梅崎は旧制福岡県立中学修猷館から旧制第五高校(熊本)を経て、東京帝大文学部卒だ。

 2人の女性ノンフィクション作家が、注目されている。

 英ブライトン在住の保育士であるブレイディみかこは19年、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』で毎日出版文化賞特別賞、本屋大賞ノンフィクション本大賞などを受賞した。84年に修猷館高校を卒業後に渡英し、保育士の資格を取って、託児所などで働く傍ら、「Yahoo!ニュース個人」で社会時評などを書いてきた。