アップル日本法人で
社長となった前刀禎明

愛知県の北西部に位置し、名古屋市のベッドタウンになっている江南市。滝高校は「地域の発展に寄与する人材の育成」を目標に江南市に設立され、2026年には創立100周年を迎える。男女共学の中高一貫校で、愛知県屈指の私立進学校だ。
A rolling stone gathers no moss.
英語の格言だ。「転石(てんせき)苔(こけ)を生せず」と訳されている。「転々と職業や住居を変える人は、成功できない」、と解釈するのは英国。米国では「活発に活動している人は、時代にとり残されない」と、肯定的な解釈をする。
転職を繰りかえしながらキャリアアップを図り、独自のマーケティング手法で経営力を磨いてきた前刀禎明(さきとう・よしあき)は、さしずめ米国型の「苔を生えない生き方」を実践してきた典型だろう。
1977年に滝高校を卒業、慶応大理工学部管理工学科に進学し、83年に同大大学院修士課程を修了後にソニーに入社した。89年にベイン・アンド・カンパニーに入社したところから転職人生が始まった。
91年にウォルト・ディズニー・エンタプライズ(現ウォルト・ディズニー・ジャパン)に、さらにAOL(アメリカ・オンライン)ジャパンと移り、04年にはアップルコンピュータに入社した。
アップルでは、日本法人社長兼アップル米国本社副社長に就き、創業者のスティーブ・ジョブズから日本市場を託され、「iPod mini」を大ヒットに導いた。
07年にはリアルディアを設立し、創造的知性を磨くセルフ・イノベーション実践プログラムや五感ワークショップなどを開発し、提供している。さらに23年には、ディアワンダーを設立した。『僕は、だれの真似もしない』など著書も多数ある。