「この本のおかげで出世できた」「チームのパフォーマンスが上がった」
そんな感想が届いているのが、安藤広大氏の著書『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』『パーフェクトな意思決定』シリーズ四部作だ。これまで4400社以上の導入実績があるマネジメント法「識学」をもとに、ビジネスの現場で「一生活躍し続けられる」メソッドや思考法を授ける本シリーズは、さまざまな業界から圧倒的な支持を集めている。今回は、全ビジネスパーソンに必須の「リーダーシップ」のあり方を指南する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)

「目標だけ立派な会社」が成長しない、驚きの理由とは?Photo: Adobe Stock

スローガンは動かない

「グローバルNo.1へ」
「顧客価値創造」
「売上1000億円を目指す」
……。

 壁や社内ポータルを飾る言葉は立派なのに、現場は変わらない。

 こうした会社に共通しているのは、目標が宣言で止まり、行動に翻訳されていないことです

 言葉だけでは人も数字も動きません

 動くのは、目標が仕組みや行動の指標に落とし込まれたときなのです。

目標が「翻訳」されていない

 社長メッセージが部署・チーム・個人単位に分解されていないと、現場は「自分ごと化」できません

 全社「売上1000億円」→ 部署別の売上配分 → 商品ライン別のKPI → 個人のアクション量

 この階段がないと、メンバーは「結局何をすれば?」となり、日常業務の惰性に戻ります
 立派な目標ほど、翻訳コストを払わないと無価値になります。

数字の分解がない=優先順位が決まらない

 目標を数字に分解しない会社では、判断軸が感覚に流れます

 たとえば、売上目標を掲げても、受注数・平均単価・解約率など、どこを改善するかが示されていなければ、施策の優先順位は決まりません

 結果、各部が好き勝手に施策を打ち、リソースが分散し、成果は薄く伸びないという状態に陥ります

 立派な目標を掲げた後、振り返りの線を引いていない会社はさらに危険です。

 月次で何を見るか、未達時に誰が何を判断するか、撤退条件はどこか……。これらが不明なままでは、失速が見えても誰もブレーキもアクセルも踏めません

「目標→KPI→レビュー→修正」のループ設計がなければ、成長サイクルは回りません。

仮面をかぶって、「仕組み」に変換する

 本音では「スローガン決まったし、あとは現場で」と流したくなるかもしれません。

 しかしそれでは永遠に形だけの会社です。

 感情を脇に置き、仮面をかぶってでも目標を数値と手順に翻訳する役割を引き受けましょう

 言葉は熱いまま、運用は冷たく。これが成長する組織の最低条件です。

(本稿は、リーダーの仮面の著者・安藤広大氏が書き下ろしたものです)

安藤広大(あんどう・こうだい)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、2013年に独立。多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年足らずで上場を果たし、これまで9年間で約4400社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ累計170万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(ダイヤモンド社)がある。『パーフェクトな意思決定』はシリーズ最新刊。