最初に覚えた日本語が
「バカ」「デブ」「外人」
あるいは仕事では「はいはい」と言っておいて、家に帰ったら小さい紙袋をふーっと膨らませて、「ファック!」と言ってバンッとつぶすと、不思議とスッキリ。バンッという音を聞くと笑っちゃうんですよ。ただ残念ながら日本には小さい袋がなかなかないということに気づいて。湿度が低い(母国の)スウェーデンでは、お菓子を小さい紙袋に詰めてくれるから、いつでもできるのだけど。
ため息をついてもいいよね。疲れている時もそうだけど、吸い込んでしまった嫌なことは出すことが大事。
強そうに見えるLiLiCoさんだが、それはあくまでプロ意識の高さ。人に対しては気遣いと愛情があふれていることが取材を通して伝わってくる。取材約束の15分前には到着、どんな質問にも相手の目を見、ストレートに答え、飾った言葉がない。それでいて、受け取る人のことを考えて言葉を発しているのを感じるのだ。
よく子どものほうが「変な顔」とか、相手を傷つけることを平気で言うでしょ。
J-WAVEのラジオ仲間であるDJ TAROさんは、ブラジル出身でハーフなのですが、子どもの頃、インターナショナルスクールではなくて日本人が行く普通の学校に通ったそうなんです。それで最初に覚えた日本語は「バカ」「デブ」「外人」だったとか。周りのみんなが彼にそう言うからです。
私の母も(スウェーデン人の父親と結婚して)差別されました。今、親しくしている方の中にハリウッドに住んでいるメイクのプロのかおりさんという方がいるのですが、彼女もひと昔前にアメリカに引っ越したので、きっと嫌なことをたくさん言われたでしょう。
嫌な経験をたくさんした人は
相手が傷つくことを決して言わない
でもね、たくさん嫌なことを言われたんだろうなという人は、相手が傷つきそうなことを決して言わないんです。
たくさん嫌なことを言われた人は、相手が傷つくことを言わない。確かにそうだ。だが一方で、その人にとっての「嫌なこと」を見極めるのはとても難しい。
本人の捉え方でもあるから、例えば「すっごく働いていますね!」という言葉も、褒められていると思う人もいれば、人によっては「仕事ができないから、仕事時間が多くなってしまうのかな」と捉える人もいるでしょう。
だから私は瞬間的にズバッと一言返したほうが「面白い」と思うことでも、頭の中で一拍置いて考えてから言う時もあります。