
「やりたい仕事ができない」「求められることと自分のやりたいことが違う」「仕事が楽しくない」――そんなモヤモヤを感じたことがある人も多いはず。タレントのLiLiCoさんも、18歳でアイドルを目指して来日するも、下積み時代はホームレス生活まで経験。それでも夢をあきらめず、今では21もの職業を持っています。そんなLiLiCoさんに、ノンフィクション作家の笹井恵里子さんが聞きました。(タレント LiLiCo、ノンフィクション作家 笹井恵里子)
やりたいことをするには
まず「口に出す」こと
私はタレントだけでなく、映画のコメンテーターや字幕翻訳家、ライター、歌手、声優、洋服やジュエリーのデザインなど、全部で21個の職業をもっています。そのうちジュエリーのデザイナーとしては自ら会社を起業しました。
先日、大企業の社長さん2人とごはんをご一緒した時に、「社長の会だね」と3人で笑い合ったんです。すると大企業の社長が「この中で一番すごいのはLiLiCoさんです」って。
私は驚いて、「いやいやいや、誰でも知っている会社の社長を務めるあなたたちのほうが……」と言うと、社長たちは「私たちは雇われているんですよ。声をかけられたりヘッドハンティングされたりして、この立場にいる。でもLiLiCoさんは自分で会社を作り上げたんです。あなたが一番すごいんです」と。心にポンと響きました。
自分にビジネスの才能があるとは思っていません。ただ何かをやるなら、やりたいことがあるなら、いつも本気で自分の力で取り組んできました。本を出すならゴーストライターじゃなくて自分で書く。ジュエリーデザインも絵から描く。45歳でデビューしたプロレスは何カ月も受け身の訓練をしました。タレントの仕事ではメイクやヘアも全て自分でやります。
その過程として、やりたいことをしたいなら、まず第一に「口に出す」ことが大切。
第一回めで日本人の方は「太った?」など失礼なことをよく言うと話しましたが、「やりたいこと、言いたいこと」は隠す人が多いですよね。
例えばこうして取材を受けた時のこと。3時間くらい話した後、帰りのエレベーターに乗り込みました。するとドアが閉まる直前、インタビューした記者が「昔、私はLiLiCoさんにファンレターを出したことがあるんです……!」って。記者がそう言い終わった瞬間、バタンとエレベーターのドアが閉まりました。