
2025年6月、外国株型投信の資金流入額は大きく減少。ただ、単一国株型で最も残高が大きいのは米国株型で、その圧倒的な存在感は変わらない。一方で、資金の流出入額に着目すると、米国株への集中投資に変化の兆しも。米国に代わって存在感を増しつつあるのはどの地域なのか。新潮流を踏まえ、考えるべき新たな戦略とは?
外国株型の過半は広く投資するグローバル株型
単一国では米国株型が圧倒的な残高
前回の連載でも取り上げましたが、世界貿易をめぐる不透明感などを背景に2025年6月の外国株型投資信託の資金流入額は5200億円程度となり、2025年5月の9200億円から大きく減少しました。
残高で見ると、外国株型は2025年6月末時点で82.8兆円に達していますが、その過半の48.1兆円程度は世界に広く投資する「グローバル株型」(インデックス型やテーマ型を含む)。一方で、単一国で最も残高が大きいのが「米国株型」で、29.3兆円に達しています。米国株型に続くのが「インド株型」で残高は3.6兆円となっていますが、3位以下の残高はほとんどなく、「豪州株型」が2400億円程度、「ベトナム株型」が1400億円程度、「中国株型(中華圏含む)」が1300億円程度にとどまっています。
また、地域にフォーカスするという観点では、「欧州株型」が2500億円程度(ドイツ株など欧州の単一国も含めると2700億円程度)の残高があります。しかし、やはり米国株型やインド株型と比較すると、残高は限定的と言えるでしょう。
資金流入でみると米国株1国への投資が減速
世界に広く分散するグローバル株型が逆転
ただし、資金の流出入に注目してみると、潮流の変化がみえてきます。
2025年6月の外国株型全体の資金流入額約5200億円の内訳は、グローバル株型に3000億円程度、米国株型に2000億円程度の資金流入でした。2025年1月の資金流入額では、グローバル株型が7400億円程度、米国株型が1.2兆円程度となっていたので、米国株型の資金流入の減速が際立っています。「全世界株」か「米国株」か、で人気が二分するインデックス投信で見ても同様の傾向が見られます。
さらに、国・地域を絞った投資信託だけで資金流出入額の推移を確認してみましょう。
米国株型の資金流入が大きく減速する中で、流入が増えた国、地域はどこなのでしょうか。100億円を超える資金流入額のあった国・地域を見てみると、インド株型と欧州株型の存在感が高まっていることがわかりました。インド株型は2025年5月に+151億円、2025年6月に+119億円と2カ月連続の資金流入しています。また欧州株型は5カ月連続の資金流入で2025年4月+103億円、2025年5月+196億円、2025年6月+213億円と資金流入が加速しています。
米国株型の資金フローが大き過ぎるためグラフでは分かりにくいかもしれませんが、2025年の年初から4月にかけて株式相場の不透明感が高まり、米国株のパフォーマンス優位が崩れる中で、こうしたトレンド変化の兆しが出てきたことに留意する必要がありそうです。

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<ダイヤモンド・ザイNISA投信グランプリ2025>
[2025年]受賞投資信託30本一覧
▼日本株総合部門
▼日本中小型株部門
▼米国株部門
▼世界株部門
▼新興国株部門
▼リート部門
▼フレッシャー賞
▼もっとがんばりま賞
▼(番外編)インデックス型「最安ランキング」
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