
ダイヤモンド・ザイNISA投信グランプリ2025の「米国株部門」で、3年連続の受賞(優秀賞)となった「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)」。純資産額が1.7兆円という超人気の投資信託だ。毎月分配型などシリーズを合計した純資産額では5兆円を超える。成績はS&P500を安定的に上回るが、これを実現できている投資信託は非常に少ない。他の米国株投信と何が違うのか? 運用責任者に聞いた。(河野拓郎、ダイヤモンド・ザイ編集部)
高い利益率を維持する銘柄は
相場の下落局面で強さを発揮する
――S&P500を長期間にわたって上回る成績ですね。銘柄はどう選んでいるのですか?
フォガティ 特に重要視しているのが、企業の利益率です。しかし、それだけでは十分ではありません。企業が稼いだ利益を、将来の成長のために使っていること(=再投資)が大切です。それによって、高い利益率を維持し、さらに加速させることができます。利益が伸びれば投資した企業の株価が上がり、投資信託の好成績につながるはずです。
コトウィッツ 補足すると、単に再投資しているだけでも不十分です。再投資の内容が間違っていたり、成長分野がなくなってきたりすると、利益はピークを打って減少に転じます。そんな展開になっていないか、将来も成長を続けれられるのか、個別企業の分析を毎日行っています。

Photo by Kuninobu Akutsu

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――米国成長株に投資する他の投資信託と比べ、下落しづらい点も特徴です。
フォガティ 競合他社の投資信託には、“今の利益は低くてもこの先に大きく伸びそう”な企業に投資するものもありますが、私たちが重視するのは“一貫性”です。つまり高い利益率の実績があって、将来もそれを維持できること。これは投資信託の成績の安定性という点で非常に重要です。注目している指標の一つとしてROA*があります。私たちの分析では、ROAで上位4分の1に入っている企業は、5年後も50%の確率で上位にとどまります。一方、下位4分の1の企業が、5年後に上位4分の1に入る可能性がどれくらいあるかというと、5%未満です。
コトウィッツ その結果として私たちの投資信託は、相場全体が下がった局面で強い、つまり下落幅を相対的に抑えられることが多いという特性があります。短期的に利益を大きく伸ばした企業には投資しません。むしろ避けるようにしています。そうした企業は、景気敏感であったり、翌年には大幅に利益が下がったりする傾向があり、株価の変動が大きくなるためです。
フォガティ 私たちも夢のあるストーリーは好きですが、それだけで投資することはありません。欲しいのはストーリーを裏付ける数字です。
*ROA:Return On Assets(総資産利益率)の略。企業全体の資産を使ってどれだけ効率的に利益を生み出しているかを表す指標。当期純利益÷総資産で算出される。
ハイテク株に賭けるようなことはしない
スーパーにだって革新的な企業はある
――米国株を牽引するハイテク株に集中投資している投資信託も多いですが、ハイテク株の比率はS&P500と同じくらいですね。