世界にも社会にも自然にも
意識を向けておかねばならない

 少しだけ出題の背景を考えてみましょう。

 20万部を突破したベストセラー、『13歳からの地政学カイゾクとの地球儀航海』(田中孝幸/東洋経済新報社)の発売は2022年2月。前年からロシアとウクライナの緊張状態が高まっていたこともあり、「地政学」という学問領域が注目されていました。中学生以上向けの本ではありますが、小学生でも理解できることはたくさんあります。この本は前述の入試問題が出る日の約1年前には出版されているのです。

 設問に対する学校からの模範解答はありませんが、塾などが作成した解答を見ると、インドと中国の関係性を述べたものが多かったです。

 教科書や参考書だけではなく、目の前で起こっている世界や社会の情勢について、家族の会話の中で、触れていけるとよいのではないでしょうか。もちろん、重々しい話ばかりしていたら子どもも疲れてしまうので、関心を持った時だけでOKです。

 また、世界地図をトイレに貼っておく、それぞれの国にまつわるドキュメンタリー番組や旅番組をテレビで流しておく(大人はちょっとした旅気分を味わいましょう(笑))など、あらゆるシーンに学びの機会をつくっていくことはできます。

 理科も同様で、複雑な問題文を整理して読解する姿勢を重視しつつ、自然科学に触れる機会がどれだけあるかも問われているように感じます。

 例年理科でよく出る問題が、昆虫などの生物、植物などの写真を並べて、どれが何にあたるのかを答える問題です。2021年の一次入試では、次のような写真の中から、旅鳥である「シギ」と「チドリ」を選ぶ問題が出ました。

同書より転載同書より転載 拡大画像表示