急落しても売られない!5年で3.5倍、中小型株だらけのインド株投信が大人気のワケは?

ダイヤモンド・ザイNISA投信グランプリ2025の新興国株部門で最優秀賞(インド株)を受賞した「HSBCインド・インフラ株式オープン」。インド株式の投資信託が30本以上存在する中で、抜群の上昇率を誇る。その好運用成績の秘訣について、インド現地の運用責任者であるネーロトパル・サハイさんに聞いた。(須賀彩子、ダイヤモンド・ザイ編集部)

成長加速!
なぜ「インフラ」分野に注目したのか?

――HSBCインド・インフラ株式オープンは、インド株投資信託の中でも高いリターンを上げています。その特徴はインフラ分野に特化した運用ですが、なぜインフラに注力しているのでしょうか。

HSBCアセットマネジメント(インド) のネーロトパル・サハイさんネーロトパル・サハイさん●HSBCアセットマネジメント(インド) インド株式部門ディレクター兼オフショア・アドバイサリー責任者。1991年より証券会社やアセットマネジメント会社で業界に従事。2013年HSBC入社、2017年株式部門責任者に就任/インド工科大学(IIT BHU)バラナシにおいて工学学士、インド経営大学院コルカタ校にて経営管理のポストグラデュエート・ディプロマ。

サハイ インド経済が有望な中で、インフラ関連に焦点を当てているのは、他のセクターと比較して成長ペースが速いからです。かつてのインド経済は、消費がけん引役でしたが、インフレが課題となる中で、政府は生産能力を高める経済の供給サイドの強化に乗り出しました。その重要な柱がインフラ投資です。政府は2019年末に、今後5年間で約1.4兆米ドル規模を投じる「国家インフラ計画(NIP*)」を発表しました。GDPに占める政府の設備投資の割合も、2019年の約1.7%から2024年の3.1%まで上昇しました。
*National Infrastructure Pipeline

――他にもインドのインフラに投資する投資信託は複数あります。その中でもトップクラスのリターンを上げている秘訣は?

サハイ インフラという有望なテーマに忠実であり続けたことで、その恩恵を直接受けることができました。具体的には、空港や港湾、道路、地下鉄、不動産などインフラに関連する企業に投資しています。また、ワイヤー・ケーブル敷設企業などの建設会社や、インフラ関連企業に的を絞って融資を行う金融機関にも投資しています。投資対象はインフラ関連企業ですが、その中身はかなり分散されています。

 さらに、HSBCアセットマネジメントの徹底したリサーチ体制が奏功していると考えています。現地に拠点を置く経験豊富な調査チームが、企業訪問・経営者インタビューや企業のファンダメンタルズ分析を通じて投資先を選定しています。こうした地道な調査力こそが強みと言えます。

中小型株が4割超!
現地調査力で光る発掘力

――中小型株の比率が約4割と多いことも特徴のようです。

サハイ はい、エネルギーや公益事業のような伝統的な分野は大型株が中心ですが、建設や素材関連の企業には優れた中小型株が多く存在します。一般的に中小型株は、アナリストによるカバーが手薄ですが、HSBCの現地調査チームは有望な投資先を発掘しています。その結果、当ファンドには有望な中小型株が多く含まれているのです。

――具体的にはどのように銘柄を選定し、売買しているのでしょうか。