ベストセラー『「悩まない人」の考え方』著者の木下勝寿氏が「マーカー引きまくり! 絶対読むべき一冊」と絶賛する本がある。『スタートアップ芸人 ── お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』だ。著者・森武司氏が率いるFIDIAは、創業以来18年連続で増収増益を達成し続けている注目企業。その成長を支えるカルチャーのひとつが、「仲間の挑戦を後押しする」マネジメントスタイルだ。今回インタビューしたのは、森氏と同じく元芸人であり、現在はFIDIAグループのグループホーム事業「FIDIA DAYS」の社長を務める水上雄一氏。彼は、人気芸人・山里亮太氏の元相方であり、ドラマ『だが、情熱はある』に登場する宮崎君のモデルとなった人物。水上氏が語る“本当の終わり”と“本当の再スタート”は、今まさに悩んでいる人の心にも響くかもしれない。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

山里亮太の元相方がどん底から年商146億円企業グループの社長に再起できたワケPhoto: Adobe Stock

最後に組んだコンビで、
本当の終わりを悟った

――芸人を辞めようと思ったきっかけは、どんな出来事だったのでしょうか?

水上雄一(以下、水上):最後に組んだコンビで、集大成とも言えるネタをつくったんです。自信もありましたし、「これでダメなら仕方ない」と思えるほどの仕上がりでした。

でも、ゴングショーのような舞台に出たとき、そのネタがまったくウケなかった。
客席は静まり返り、ひと笑いも起きなかったんです。

その瞬間、「ああ、もう終わりだ」と心のどこかで決めました。
笑いが起きないと、時間の流れが止まったように感じる。

その場に立っている自分が、だんだん遠くなっていくような、なんとも言えない感覚でした。

――その「終わり」を悟ったのは、芸人としてどのくらいの時期でしたか?

水上:ちょうど芸歴10年の節目でしたね。
小劇場に通うお客さんは中高生が中心なので、だいたい6年で入れ替わります。

僕が芸人をしていた10年間は、ちょうどそのサイクルを1周半回ったところでした。

新しい観客層と関係を築くには、また一から積み重ねていかないといけない。
単純に、そのパワーが残っていませんでした。

「おまえ、人生、あきらめてるだろ」

――芸人を辞めた後、どのようにFIDIAと出会ったのですか?

水上:芸人を辞めた後は、本当に自分が何をしたいのか全くわからなくなりました。
定職に就いても長続きせず、もがいて、悩んで、とにかく必死でした。

そんなとき、FIDIAグループの創業者である森社長と話す機会があったんです。
森さんは僕のこれまでの話に耳を傾けてくれて、真剣な顔でこう言ってくれました。

「おまえ、人生、あきらめてるだろ」と。

僕は、芸人を辞めただけでなく、人生そのものをあきらめかけていたことにその時初めて気づかされました。

そして森社長は、

おまえのその経験は、絶対にビジネスの世界でも活かせる。俺の仲間にならないか

と言ってくれたんです。

芸人もビジネスも、
支えるのは「仲間力」

――芸人時代と、今の仕事で共通する部分はありますか?

水上:そうですね。共通しているのは「仲間の存在」です。

芸人も、結局は一人でやっているようで、裏には支えてくれる人が必ずいます。
ネタ合わせや舞台裏の空気づくり、全部ひっくるめて“仲間力”なんです。

FIDIAに入ってからも、森さんや仲間たちの存在が大きかった。
陰口を言わず、正面から向き合う。

そんな文化があったから、信頼関係が築けて、再び自分らしく仕事ができるようになりました。

――その「仲間力」は、具体的にどのような形で今の事業に活かされているのでしょうか?

水上:僕が今取り組んでるのは、グループホーム事業「FIDIA DAYS」の新規立ち上げです。
まさにその「仲間力」が軸になっています。

森社長自身が引きこもり経験者だからこそ、「つらい状況にある人が安心してつながれる場所を作りたい」という強い思いを持っています。

僕自身も芸人を辞めてどん底を経験したので、その気持ちがすごくよくわかるんです。

「FIDIA DAYS」で、利用者さんが安心してすごし、自分らしく輝けるよう、僕自身の経験も活かして全力で寄り添っていきたいと思っています。

終わったと思っても、
人生の次のページは始まっている

――最後に、今つらい状況にいる方へ、メッセージをお願いします。

水上:夢に敗れても、それは「人生の一部」が終わっただけです。
全部が終わるわけじゃない。

僕自身、芸人を辞めた後は、自分が何をしたいのか全くわからなくなりました。

でも、人生には次のページが必ずある。
今つらい状況にある人ほど、きっとこの本から勇気をもらえると思います。

なぜなら、この本は森社長のサクセスストーリーであると同時に、僕たちのような「一度、人生に敗れた人間」が仲間と出会い、再び立ち上がるまでの物語でもあるからです。

(本書は『スタートアップ芸人 ―― お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』に関する特別投稿です。)