義歯をつけたまま寝るのは危険!
肺炎リスク2.3倍の衝撃データ
日常的な義歯のメンテナンスとして、睡眠前に義歯を取り外し、研磨性のない洗剤とブラシでやさしく汚れを落とし、一晩、義歯洗浄剤に浸漬する、という正しい方法を、ぜひ実践してください。
日本大学の飯沼利光教授らの研究では(注5)、85歳以上の人々において、嚥下困難と睡眠中の義歯装着が深刻な肺炎イベントのリスクを2.3倍高くしたと報告しています。嚥下機能に問題がある人は、汚れが付いたままの義歯を装着して就寝することは、絶対に避けてください。
このほかにも、ガイドラインでは義歯の取り扱いの方法が記載されています。紹介したものを含め、一部を表6-1にまとめました。

中には「義歯洗浄剤は口腔外での義歯の洗浄にのみ用いるべきである」という、一見それ以外の方法が考えにくいものもありますが、これは実際にアメリカで、口の中に装着した義歯を洗うために義歯洗浄剤のタブレットを口の中に放り込んだ例があったそうです。

まさに想定外の使用法ですが、考えられないことではありません。日本で普及している酵素系の義歯洗浄剤でも、使用する前に必ず用法を確認しなくてはいけません。
また、「義歯洗浄剤溶液で浸漬とブラッシングをした義歯は、口腔内に再度入れる前に必ずすすぎ洗いをしなくてはならない。必ず製品説明書に従う」などの説明もあります。洗浄剤の種類によっては塩素系を使用しているものもありますので、必ず水で十分にすすぐことが重要です。
さらに付け加えると、「義歯を煮沸してはいけない」というのもポイントです。ときどき「煮沸消毒」のつもりで煮沸する人がいるようです。義歯は大部分がアクリル樹脂でできているため、煮沸すると変形してしまいます。絶対にやらないでください。
これを機に、ご自身の義歯の使い方が間違っていないか、ぜひ確認してみていただきたいと思います。