その場合はまず、その報告書や課題にどれくらいの時間をかけたかを考えてみてください。とりあえずさっさと終わらせた報告書を提出すれば、後で細かいミスがいくつも見つかって再提出を求められたり、課題の完成度が低くなって二度手間になったりします。目の前のタスクによって発生する「やらなくちゃ」という認知的負荷を消去することはできても、それ以上のコストが生じている状態です。
対策として有効なのは、タスクにとりかかる前に、そのタスクに必要な時間を十分に検討したうえで、余裕をもってスケジュールに入れておくことです。そして、提出前の「見直し」までタスクに組み込んでおくのです。
頭のなかに多くのタスクをかかえた状態で、次にとりかかるタスクを探しては潰していくというタスクマネジメントは、常に気が散っている状態でもあり、心が休まるときがありません。そうした状態が続くと、取り返しのつかない事故やトラブルにもつながりかねません。ときには好きなことに没頭し、セルフコントロールの失敗も視野に入れながら、せっかちな自分とのんびり屋さんな自分を行き来してみるのもよいかもしれません。
「先延ばし」しがちな孫に
祖父母が遺してくれた言葉
続いて、先延ばしの傾向が高い人に有効な対策を考えます。締め切りの直前までグズグズしてしまう状態を回避する方法には、ToDoリストによる管理などがあります。
それに加えて私がおすすめしたいのは、「仕事に追われてはいけない。追いかけるくらいの感覚で」という言葉を、頭のどこかに置いておくことです。これは、自営業をしていた私の祖父母の言葉です。そもそも私が前倒し派になったきっかけは、幼いときから祖父母にかけられていたこの言葉だったように思います。
明日は何が起こるかわからない。何が起こっても大丈夫なように、できることはできるうちにやっておきましょう、というのがこの言葉の真意です。幼いときは何となく聞いていましたが、今になるとその意味がよくわかります。