前倒し派の人は、もうちょっと待った方が楽なのにもかかわらず、家事というタスク全般には早々にとりかかろうとします。すぐ動いてしまうことで、後々余計な労力を支払うことになるのが薄々わかっているにもかかわらず、です。それだけ認知的負荷に敏感なのでしょう。
カナダのサイモンフレイザー大学のフリーマンらは、時間選好と意思決定の観点から、今タスクをするか、それとも将来するのを待つかを選択してもらう実験を行っています。この実験に参加した半数以上の人が、タスクの量が増えても(具体的には約6分間の追加タスクを行う)、そのタスクに今すぐとりかかることが示されています(注1)。
これは驚くべき結果とされていますが、前倒し派の方々には身に覚えがあることでしょう。私もしょっちゅうやっています。
たとえば、家具を購入しようとする際、下調べをせずに欲しいものをどんどんリストアップしていくので、非現実的なリストができます。加えて、事前に置き場所の長さを測らないので、購入家具が自宅の寸法と合わずに失敗することもあります。急に断捨離を思い立っては、資源ゴミの日程を確認せずに大きな物をさっさとゴミ袋にまとめてしまい、ゴミの回収日まで巨大なゴミ袋を眺めながら生活することになったりもします。
年末には大掃除に張り切るものの、危うく必要な書類までシュレッダーにかけてしまいそうになったり。カレーを作るときには、ニンジンとジャガイモにまだ十分火が通っていないのにさっさとルーを入れてしまい、硬い野菜を食べる羽目になったことも一度や二度ではありません。このような明らかに合理的でない前倒し行動を見て、夫は「前倒しするにもほどがある!」と心のなかで叫んでいることでしょう。
タスクマネジメントの
不一致が起きたら
一方の夫は、先延ばし派です。差し迫った締め切りなどがあると動き出しますが、それまでの時間はゆっくり流れているような気がします。そんな我が家では、次のような会話がしょっちゅう発生しています。