内定率と就職先について学長が激白!仏教系大学がデータサイエンティスト育成に本腰を入れるワケ北村行伸・立正大学学長 Photo:Rissho Univ.

全国の大学で「データサイエンス学部」の新設が増えている。デジタル化が進む一方、日本では同分野のトップ人材が圧倒的に足りず、完全に米国などに支配されている。同学部の新設ラッシュは、人材育成の一助となるのか?他方、私立大学は「6割が定員割れ」で、大学が生き残りをかけて集客力のある新学部を設ける現実もある。同学部が流行りで終わってしまわないのか?立正大学の新学長で、データサイエンス専門家の北村行伸氏に、卒業生の内定率や就職先なども含めて話を聞いた。(コラムニスト 坪井賢一)

仏教系の伝統校が
データサイエンス学部を新設したワケ

 2025年4月、立正大学の学長に北村行伸氏が就任した。北村氏は20年4月に、一橋大学経済研究所教授から立正大学経済学部教授に転じた、統計理論やミクロ経済学、データサイエンスの専門家だ。

 立正大学は21年4月にデータサイエンス学部を新設している。その一環で北村氏を招き、北村氏はデータサイエンス学部長・教授に就任。この3月に同学部の第1期卒業生を輩出したのと同時に、データサイエンティストの北村氏が学長に就任した。

 立正大学は9学部に学生1万人強を擁する総合大学だが、そもそも日蓮宗の教育機関を母体とする仏教系の大学である。歴代学長も宗教学、哲学、人文地理学、文学系の学者が多い。(注1)

 データサイエンス学部を日本で初めて開設したのは滋賀大学で、17年のこと。(注2) 東京大学から招いた数理統計学者の竹村彰通氏が学部長に就任。竹村氏も22年4月に滋賀大学学長に選任されているので、北村氏は「データサイエンティスト学長」として国内2人目ということになる。

 最初に、北村氏が学長に選ばれた経緯から話してもらおう。

北村 東大経済学部から立正大経済学部へ転じていた吉川洋さんが立正大の学長だったのが19年4月~22年3月。吉川さんの前の学長時代に新学部を熊谷キャンパスに設立することになり、当初は総合政策学部が有力だったそうです。しかし吉川さんが学長選の争点として、総合政策学部は魅力的ではないのを理由にデータサイエンス学部を新設する構想を打ち出したと聞いています。

――そこで北村さんが一橋大学を退職後に吉川さんから誘われたんですね。近年、入学定員充足率が100%に達していない私立大学は全体の59.2%を占めています(24年度、日本私立学校振興・共済事業団調べ)。大学のサバイバルのために集客力のある新しい学部やテーマが求められるのですか?