楽譜と楽器写真はイメージです Photo:PIXTA

ChatGPTを仕事に活用しているビジネスマンが激増しているそうで、「週刊ダイヤモンド」のChatGPT特集号は版を重ねているという。ライバルの「週刊東洋経済」も特集を2度組んでいる。どうやってうまく使いこなし、労働生産性を上げることができるか、あるいは新しいビジネスを創出することができるか、という読者の願望の表れだろう。生成AIとどんな応答を行えば目的を果たせるのか、筆者も2カ月ほど試行錯誤してみた。その結果というか、途中経過を報告する。(コラムニスト 坪井賢一)

ChatGPT、Bingのチャット、GoogleのBard
どれが優秀だった?でたらめも多い!

 前提として、筆者が使用している生成AIは、無料版のChatGPTとマイクロソフトのBingのチャット、それにGoogleが試験運用しているBardである。BingはChatGPTを組み込んでいるが、両者で出力方法や内容に差がある。

 筆者としても試験運用なので、AIのミスをすぐに見つけられるであろう、知識には自信があるクラシック音楽と経済学をテーマにして2カ月間、やりとりしてみた。

 今回は、クラシック音楽について報告する。プロンプト(設問)は以下のようにした。

 まず、AIに対しては、「あなたは一流の指揮者」であり、クラシックの管弦楽作品に詳しい専門家だと定義した。

 次に、オーケストラのプログラムを組むにあたって、選曲を手伝ってほしいという目的を与えた。そして以下の条件を箇条書きにして入力した。

●2管編成(フルート2,オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2)のドイツ・オーストリア系のオーケストラ作品
●金管楽器ではトロンボーン3本を必要条件に加えた
●弦楽器はヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス
●打楽器については書かなかった
●時間は15分程度
●明るい作品

 まず、Bingのチャットの回答はこうだった。設問入力後、数秒で答えてくる。以下、太字がAIの回答で、手を入れていない。

【Bingの回答】2管編成の独墺系の管弦楽曲で、トロンボーンと打楽器が含まれる明るい曲を探しているとのことですね。私が見つけた情報によると、以下の曲が条件に合うかもしれません。

 ハイドン:交響曲第45番「告別」
 モーツァルト:交響曲第29番
 ベートーヴェン:交響曲第2番

 これらの曲は、2管編成でトロンボーンと打楽器を含み、明るい雰囲気を持っています。この情報が役立つことを願っています。他に何かお探しでしたら、お知らせください。

 無料版のChatGPTの回答に出典はないが、Bingは出典を明らかにしている。それによると、出典はWikipediaと管弦楽作品の編成が載っている「管弦楽編成表」というサイトと、あるリモート音楽教育サイトだった。

 この程度の設問ならWikipediaだけでもすぐに分かるはずだが、回答にある3曲は全然ダメ、条件に全く合っていない。まず、3曲ともトロンボーンは使われていない。時間も30分前後かかる。明るくはない。「間違っている」と入力したところ、数秒後に再回答してきた。