「異次元の金融緩和が終了します」――最近、ニュースで毎日聞くフレーズだ。とはいえ、「正直よく分からないんだよな…」という人もいるかもしれない。2024年は日本経済の大きな転換点になる。経済ニュースや数値の意味、重要性が理解できていないのは、ビジネスパーソンとしてちょっとマズい。今回は、バブル崩壊以降の金融政策の流れを学んでみよう。(コラムニスト 坪井賢一)
黒田日銀の政策名は
落語の「じゅげむ、じゅげむ…」?
突然だが、次の経済学の方程式を知っているだろうか?
MV=PT
なんのことやらサッパリわけ分からん、という人も多いだろう。
第1ヒントは、「安倍晋三元首相によるアベノミクスのもと、黒田東彦・日銀前総裁はMを増加させるための方策を繰り出していった」だ。
第2ヒントは、次の表を見てほしい。1999年以降の金融政策を時系列でまとめたものだ。
黒田前総裁による「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」や「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」といったやたらと長い政策名を見るたびに、筆者は落語の「寿限無、寿限無、五劫のすりきれ……」を思い出す。子供が生まれて、長生きするように縁起の良い名前を教えてもらい、全部つなげて一つの名前にしたという話である。
黒田日銀はいろいろと難しそうな概念を組み合わせていって、政策名称が寿限無のように長くなったが、目的はただ一つ、Mを増やすことだった。
次のページでは、方程式の種明かし解説をする。異次元緩和の始まりと終わりの経緯を知って、経済学の基本を楽しく学んでいこう。