
パワハラ、セクハラ問題が起きた時、加害者が素直に罪を認めるケースは少ない。それだけに会社側は、被害者を救済しつつ早急に問題解決に向けて調査を開始し、真実を突き止めなければならない。※本稿は、島田直行『知識ゼロからの問題社員のトラブル解決 円満退職のすすめ方』(幻冬舎)の一部を抜粋・編集したものです。
パワハラ社員が部下を壊す
「たった2文字」の言葉とは
事例紹介
A病院の院長は、銀行の人事部に勤務していた男性を事務部長として採用しました。すると、数ヵ月もしないうちに「あのひとの下では働けない」という声が院長のもとに届くようになりました。彼は部下の細かいミスを発見しては、「なぜ」と容赦なく批判するというのです。
A病院の院長は、銀行の人事部に勤務していた男性を事務部長として採用しました。すると、数ヵ月もしないうちに「あのひとの下では働けない」という声が院長のもとに届くようになりました。彼は部下の細かいミスを発見しては、「なぜ」と容赦なく批判するというのです。
この時世にパワハラという言葉を知らないひとはいません。いるのは、自分の行為はパワハラではないと誤解しているひとです。私たちは、往々にして「自分だけは違う」という誤った思考に陥ってしまいます。これは正常性バイアスと呼ばれるものです。
紹介事例の問題社員の事務部長を象徴するものとして「なぜ」という言葉があります。「なぜ、同じミスをする」「なぜ、できない」など。指摘された側としては、何も返事をすることができません。自分のミスに理由などないからです。
この事例は、社員のひとりが弁護士に依頼したことで変わりました。この社員は、事務部長とのやりとりを録音していました。録音データからは、社員を追い詰める事務部長の姿がありました。その執拗な態度は、パワハラがストレス発散であることを雄弁に語っていました。