事実関係を把握したうえで
加害者の面談に臨む5ステップ

 セクハラをした問題社員と面談する前に、被害者の協力を得て客観的な証拠を集めておく必要があります。

ステップ1 被害者に情報共有する範囲について、同意してもらう
セクハラの調査では、「2人はできていた」などあらぬ噂が広がることがある。こうした風評による二次被害を防ぐために、調査に関係するひとを制限する。

ステップ2 客観的な資料を集める
SNSにおける当事者間のメッセージなどは、有効な資料のひとつ。(1)行為(2)継続性(3)休職、退職などの結果の発生の有無(4)被害者側の要因を中心に事実を確認しよう。

ステップ3 仮説を立てる
ステップ2の資料をもとに、今回のセクハラ事案で起こったことについての仮説を立てる。
(例)人事評価をちらつかせて性的関係を求めた

ステップ4 関係者へヒアリングする
関係者の感情や評価などはできるだけ排除する。「○○という事実について把握していることがあれば教えてください」というように具体的な事実を確認する。

ステップ5 加害者と目される人物と面談する
加害者との面談は最後の最後。面談の目的は、本人に弁明の機会を与えるというもの。面談は、この1回のみと覚悟しておこう。だからこそ、それまでに事実を固めることが必要となる。

 セクハラの事実が確認できたら、慰謝料について検討します。会社が負担する場合には、50万~100万円で被害者と合意するケースが多いです。加害者に対しては、会社都合退職の交渉をします。

真実を決めきれないときは
会社の立場を説明する

 セクハラの事案では、被害の声はあるのに事実を確認できないという状況に陥ることもあります。このときに勢いで加害者を呼びだすと、警戒されて残された証拠すら隠滅される可能性があります。

 時間をかけて資料が用意できればいいのですが、現実にはうまくいかないこともあります。被害者が加害者への早急な処分を強く求めてくるケースもあります。この場合には、会社として「現状では判断できない」と被害者に理解を求めることをせざるを得ません。