問題社員に辞めてもらいたい!→裁判で不利になる典型的な「NG対応」とは?写真はイメージです Photo:PIXTA

問題社員に会社を辞めてもらいたい場合、経営者はどのような姿勢と方針で臨むべきなのか。問題社員の典型事例を解説しながら、経営者が「実際にどうするべきか」を提言する。※本稿は、島田直行『知識ゼロからの問題社員のトラブル解決 円満退職のすすめ方』(幻冬舎)の一部を抜粋・編集したものです。

交渉の成功は
「事前の準備」で決まる

 特に中小企業では人手不足もあり、「問題があるから」とすぐに辞めてもらうわけにはいきません。まずは指導からです。

 もっともいくら指導をしても改善に至らないのが問題社員。「合わない職場」で勤務し続けることは、双方にとって適切ではありません。むしろ感情的な軋轢を深めるだけになります。そこで退職を視野に入れた対応を検討することになります。

 しかし経営者は、「退職してもらいたい」と思っていても具体的に動きだすとなると躊躇します。「退職を提案してもいいのだろうか」「どうやって退職を提案すればいいのだろうか」と悩みは尽きません。

 まずは会社から退職を提案することの意味をおさえましょう。いきなり会社から「辞めてください」と提案して「はい。わかりました」と簡単に同意してもらえることはありません。退職すれば、社員は生活の糧を失うことになるわけです。退職勧奨はそれなりの決断を社員に強いることになります。

 提案を受け入れてもらうには、交渉方法よりも提示する条件も含めた事前の準備によって決まる部分が大きいです。退職勧奨は、いわば一発勝負のようなもの。感情に流されて実施するとたいてい混乱してうまくいきません。