
部下へのフィードバックは上司にとって重要な仕事の一つだ。しかし、ネガティブな内容を伝えることが苦手だという人も少なくない。少し耳の痛い話をしなければいけないときは、二つのことを実践してみよう。
ダイヤモンド・オンライン会員限定で配信中の本連載をまとめた電子書籍『結果を出す人の仕事術』(石倉秀明著)の発売を記念して、特別編をお届けする。(構成/ダイヤモンド・ライフ編集部)
部下に言いづらいことを伝えるとき
デキる上司が工夫していること
部下が成果を上げて、きちんと会社に評価してもらえるように指導する――。これは、上司にとって大事な仕事の一つです。ただ、改善してほしいことなど、ネガティブな指摘をすることが苦手な人も少なくありません。
そのように言いにくいことを伝える場面で、おすすめの方法が二つあります。
一つは、「ドキュメントにする」こと。伝えたいことをあらかじめ文書にまとめておいて、それを見ながら話をするのです。ミーティングの前に共有しておいてもいいですし、1on1ミーティングの始めに紙を渡して、5分くらい読んでもらってから話をするという形でもいいでしょう。
口頭のコミュニケーションだけで伝えようとすると、ネガティブなフィードバックが苦手な人ほど、言いづらいことをごまかしてしまったり、言わなければいけないことを言えなかったり、逆に余計なことまで喋ってしまったりしがちです。伝えたい内容を文書にしておけば、そうしたリスクは減らせるはずです。
もう一つ、具体的な事実とセットで伝えることも重要です。
例えば、「もっと積極性がほしい」とだけ伝えても、部下は何をどう改善すればいいのか分かりません。「昨日の会議のときの○○という発言でこう感じたよ」というように、具体的な行動や発言という事実を踏まえてフィードバックすると、何を指摘したいのかが伝わりやすくなります。
評価や改善点のフィードバックは、上司である「自分が○○してほしい」という主観が入る部分でもあります。だからこそ、できるだけ具体的な事実に基づいて話すことが重要なのです。
フィードバックの目的は、それを伝えて、課題である行動を変えてもらうことにあります。伝えたいことがきちんと伝わって、行動が変わらなければ意味がありません。言い回しを工夫するよりもまずは、伝えるべき内容をきちんと伝えることに専念すべきです。
山田進太郎D&I財団 COO。2005年に株式会社リクルートHRマーケティング入社。その後、リブセンス、DeNA、起業などを経て2016年より株式会社キャスター取締役COOに就任(2021年より取締役CRO)。2023年10月の東証グロース市場上場に貢献し、2023年12月からは働き方について研究、調査を行うAlternative Work Labを設立し所長就任(現在も兼任)。FNN系列「Live Newsα」、AbemaTV「ABEMAヒルズ」レギュラーコメンテーター。著書に『これからのマネジャーは邪魔をしない。』(フォレスト出版)、『THE FORMAT 文章力ゼロでも書ける究極の「型」』(サンマーク出版)など。
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