2015年の発売以降、今でも多くの人に読まれ続けている『ありがとうの神様』。本書は、小林正観さんの40年間に及ぶ研究のなかで、いちばん伝えたかったことをまとめた「ベスト・メッセージ集」だ。あらゆる悩みを解決する「ありがとう」の秘訣が1冊にまとめられていて、読者からの大きな反響を呼んでいる。この連載では、本書のエッセンスの一部をお伝えしていく。

「13本顔」に変われば、多くの友人が支えてくれる
人間の顔には、左右30本ずつ、合計60本の筋肉があるといわれています。
そして、笑顔になったときは「13本」の筋肉を使い、「あの人、本当に嫌な人ね」「先日、こんなに嫌なことがあった」と不平不満を言うときには、「47本」の筋肉を使っているそうです。
いつもニコニコしている人は「13本顔」に、いつも、不平不満、愚痴、泣き言、悪口、文句を言っていると、「47本顔」になります。「47本顔」の人が、「喜ばれる顔」になろうとしても、時間がかかります。
ですから、この文章を読んだ瞬間から、「47本」をなるべく使わないことをお勧めします。
イタリアには、子どもたちに言い聞かせている「伝説の寓話」があると聞いたことがあり、確か、こんな話だったと思います(※史実とは違う「寓話」です)。
レオナルド・ダ・ビンチが「最後の晩餐」を描くとき、最初に取りかかったのは、キリストです。
街に出て、公園を歩いていたときに、「目が澄んで、肌がキレイで、すがすがしい好青年」がいた。その人に「モデルになってください」と声をかけ、キリストの絵を描いたそうです。
それからひとりずつ弟子を描いていって、最後に残ったのが、裏切り者のユダです。
「最後の晩餐」には13人が描かれています。描きはじめてから最初の数年でキリストと11人の弟子を描くことができたものの、ユダだけが思うように描けず、ダ・ビンチは3年以上苦しんだそうです。
そんなとき、薄暗い酒場の片隅に、ひとりの男性を見つけました。人生の悲哀、裏切り、憎しみ、妬みを全身に背負っているような男でした。
ダ・ビンチはこの男に近づき、「モデル代を払うから、何時間か私のために時間をくれないか」と声をかけた。男は、「いいですよ。もう、どうせ俺の時間なんか、誰も必要としていないし」と返事をし、モデルになったのです。
ダ・ビンチが絵を描き終えたとき、モデルの男の目から涙が溢れてきたそうです。
「なぜ、泣いているのですか? 感動して泣いたのですか?」
ダ・ビンチが尋ねると、男は、こう答えた。
「あなたは、私を忘れたのですか? 3年前に、あなたは私をモデルにして『キリスト』を描いた。3年たって、もう一度あなたから声をかけられ、今度は誰のモデルになるのかと思ったら、裏切り者のユダだった。これが泣かずにおられようか……」
この男性は、3年間、人の悪口を言い続けていたのではないでしょうか。
世の中に対して、他人に対して、「自分はツイてない」「あの人はひどい人だ」と、恨み言、憎しみ言を言い続けていた…。
その結果として、キリストのモデルだった彼は、ユダのモデルに選ばれてしまった…ということを伝える「寓話」なのでしょう。
私は、強制しませんし、「人間はこうあるべきだ」という話はしませんが、自分の顔には責任を持ったほうがいいと思います。
「13本顔」になって、「不平不満・愚痴・泣き言・悪口・文句」を言わないでいると、人から、さまざまなことを頼まれるようになります。
頼まれごとがあったら、あとは何も考えずに笑顔でやっていけば、必ず生活もできるし、友人、知人があなたのことを支えてくれるはずです。