誰もがハッピーに
なれる会社はない
『あたらしい働き方』を作るにあたり、アメリカと日本の17企業・1組織に取材をしました。いずれもあたらしい働き方を実践したり、研究している企業・組織です。
2012年10月からインタビューを開始して、アメリカではスタンフォード大学d.school、エバーノート、IDEO、インストラクタブルズ、キックスターター、ネットアップ、パタゴニア、セールスフォース・ドットコム、ホワイトストラタス、ザッポス、日本ではカヤック、Sansan、スタートトゥデイ、チームラボ、ディー・エル・イー、Plan・Do・See、Liverty、ワークスアプリケーションズを取材しました。
インタビュー先の選択の基準は、ほとんどが10億円以上の売り上げを上げている企業で、利益も出して成長していて、ユニークなシステムを持っていることです。単に突拍子もない制度や取り組みをしているというだけの会社は入っていません。短期的に目立ったとしても、継続性がなければ意味がないというのが、かつて自身も経営者だった私の考え方だからです。
そして取材を通じてはっきりしてきたことがあります。あたらしい働き方は、すでにたしかに行われているということ。やらされ感がなく、社員がいきいきと楽しく働いている会社がたくさんある。それは、企業の規模に関係なく、あるのです。そういう会社で働けるチャンスは、実はもう開かれているということです。
しかし一方で、わかったことがあります。17の会社は、それぞれがまったく別々の特徴や価値観を持ち、まったく違う仕事が行われていました。働いているのも、同じようなタイプの人たちでは決してなかった。それぞれで違うのです。
私は思いました。ではこの17社のうちの1社に入れば、誰もがハッピーになれるのかといえば、そんなことはないのだな、と。17社でもまるで違うのです。自分に合う会社もあれば、合わない会社もある。つまり、自分で合う会社を選択する必要があるということです。
では、どうやってその選択をするのか。この選択こそが極めて大事なことになるということです。
例えば、短時間労働の魅力が語られることがありますが、本当に短時間労働が幸せなことなのか。それは、自分のライフステージとも関わっていきます。プライベートを削ってでも、むしろ集中して仕事をして力をつけるステージも必要な時があります。自分で人生を意識していないと、短時間労働が必ずしもプラスになるとは限らないのです。