ワークライフバランスへの疑問
仕事の時間もハッピーで楽しい
ここ数年、ワークライフバランスという言葉が、さかんに言われるようになりました。仕事に時間を費やすだけではなく、プライベートも充実させる。両者をバランスして、ハッピーな生き方を実現させる。
しかし、私はどうにもこの言葉にピンと来ませんでした。ハッピーに暮らすには、プライベートを充実させなければいけない。つまりワーク=仕事ではハッピーになれない、ということを意味しているようにしか聞こえなかったからです。
要するに、大変な仕事と楽しいプライベートを完全に分けて、トレードオフしようということ。仕事というのは、つまらなくて、やらされ感があって、楽しくなくて、辛くて、ハッピーなものじゃないから、プライベートでカバーしよう。プライベートでこそ楽しもう。ワークライフバランスという言葉は、つまりそういうことを意味しているのではないか。もともとの意に反して、こう理解をしている人が多いと思います。
しかし、本当にそうなのでしょうか。もちろんプライベートもハッピーにするけれど、仕事の時間もハッピーで楽しい、というのが理想ではないでしょうか。働く時間というのは、実は人生で最もたくさんの時間を使うのです。その時間をハッピーにできることこそ、大切なことなのではないでしょうか。
実際、私の周りには、そんな働き方、そんな暮らしをしている人がたくさんいました。彼らにとっては、私と同じようにワークライフバランスなどという言葉はまったくピンと来ないと思います。なぜなら、バランスなど取る必要がないから。仕事も楽しいからです。
私自身、仕事とプライベートの境目など、ほとんどありません。仕事もプライベートのようであり、プライベートも仕事のようであり。両者はそれぞれに役に立って、しかも楽しい。
こんなふうに書くと、「本田さんだからできるのだ」「経営者だからできるのだ」「そういう人は本田さんの周りにしかいないんじゃないか」と思われてしまうようです。しかし、実際には、そうした働き方を手にしている人が、他にもすでにもっともっといるのではないか。次々に増え始めているのではないか。私はそう感じていたのです。