もちろん、1つひとつの習い事が刺激になり、お子さんの成長を促す面はあるでしょう。それでも私が少し心配になってしまうのは、時間的な余裕のなさです。
大人が介入しすぎない
放課後時間の重要性
子どもたちは小学校に入ると、急に学校生活の中で他の子と同じようにできなきゃいけない環境に身を置くことになります。
未就学児の間は「1人で歩けるようになったね」「ボタンを止められるんだ、素晴らしいね」と、自分でできることが増えるたびに褒められてきたのに、小学生になった途端、褒められる場面が減って周りと同じようにできないことを指摘されるのです。
「なんで宿題やらないの?」
「どうしていつまでたっても掛け算ができないの?」
「ランドセルの準備くらい1人でできるでしょう?」
親は我が子の成長を期待しているわけですが、どうしても「みんなと同じことがどうしてうまくできないんだろう?」という方向で考えがちです。
すると、ほんの小さなつまずきや親子の関わりの中で出てしまった、否定的な言葉から自信をなくしてしまう子も出てきます。未就学児から小学生へ。成長の個人差を無視して急かしてしまうと、自己肯定感が下がってしまうことになりかねず、自信がないことで失敗を恐れ、さまざまなことに消極的になるものです。
余白のある、余裕のある放課後の中で、本人が自分の得意なものを見つけたり、学校でうまくいかなくても遊びの中で何か夢中になれるものを見つけたりできると自信を取り戻すことができますし、自己肯定感も育まれていきます。
それが放課後の良さであって、ゆるやかな時間の中で「僕はこんなことが得意なんだ」「私はこういうことが好きなんだ」と自分で気づいて、自分を認めていく。保護者が、大人が介入しすぎない放課後時間が、子どもたちの自己肯定感の芽をしっかりと育んでくれるのです。
習い事で余白がなくなる問題について、私は保護者の気持ちも、子どもの戸惑いも、どちらもよくわかります。親は「子どもがやりたいと言ったので」と言いますが、でも本当に心からやりたいと言ったのか、という疑問は残ります。