お母さんにひどく叱られて、しょんぼりしたし、ムカついたけど、お母さんも疲れちゃっているように見えた。考えてみると、叱るほうも大変なのかもしれない、とか。

 周りの人がどう考えているのかを想像して、コミュニケーション上に生じた齟齬を次に活かしていくこと。これは社会人になってからも大切な能力です。空想すること、想像すること。普段からその時間を持っていない人は、どうしても自分視点で物事を考えるようになっていきます。

 だからこそ大人は、子どもたちが持つ、一見、無駄のようにも見えるぼんやりした余白の時間、自由に考え、試行錯誤して遊ぶ時間を、尊重してあげたいものです。

現代の学童はかつての
放課後のような空間

 失われた放課後時間に対して、現代の学童は子どもたちにかつての放課後を経験させてあげられる場所だといえるかもしれません。

 学童では通っている学校も、学年も異なる子どもたちが放課後に集まってきてグループを作り、放課後時間を過ごしていきます。なかでも私たちキッズベースキャンプには、国立、私立、区立、市立など、それぞれの教育観を持つ学校で学んでいる子どもたちが通っています。

 各施設にやってきたら、そこには常勤キッズコーチだけでなく、非常勤として子どもたちに負けず走り回ってくれる大学生、おいしいごはんやおやつを用意してくれる料理上手な主婦の方、手作りのおもちゃを作ってくれる元大工さん、きれいな掃除の方法や将棋の遊び方を教えてくれるシニアの方、外国語が堪能な方など、上は70代、下は大学生と幅広い年齢層のいろんな得意な技を持っている多くの大人が、子どもたちのグループとにぎやかに関わっていきます。

 学校とも家庭とも違う大人たちとの関わり。小学校の同級生ではない友達とのつながり。

 こうした環境が整っている学童での時間は人工的なものですが、現代の子どもたちはそこでかつての放課後のような世界を体験することができるのです。

 そこにはやはり学校の勉強とは異なる学びがあります。