大好きなお父さん、お母さんから、「どう?」「やってみる?」「きっと、おもしろいよ」「将来役に立つよ」と言われたら、多くの子どもはなかなか「イヤだ」とは言いづらく、親が喜んだり、安心したりしてくれるならやってみようかなという感じになります。

 実際、通い始めてその習い事が好きになれば、それはそれでいいことです。でもそこで、本人は好きじゃないのに生活のリズムを保つために通い続けさせるのはやっぱりどうかと思います。

 特に週4、週5で習い事が入っていると、小学校から学童にやってきて、ちょっとだけみんなと一緒にいて、塾へ出発。また学童に戻ってきて…と、習い事のはしごのような放課後になっていきます。そうなると忙しすぎて物事を自分で決定する機会が失われてしまい、自由に空想したりする時間が失われていってしまうのです。

 親から見ると、一見、無駄そうに思える子どもたちの放課後の余白の時間。実はとても重要です。子どもたちは自由な時間があると、自分の頭で考え、自己決定するプロセスの経験を積むことができます。

 1人で静かに本を読む子も、夢中で工作に取り組む子も、仲良くなった友達とボードゲームで遊ぶ子も、ぼんやり空想をしている子も、集団で盛り上がってドッヂビー(ソフトディスクを使用して行うドッヂボール形式のゲーム)を始める子たちも、みんな自分の行動を自己決定しています。余白の時間は、子ども自身が主体者になれる重要な時間なのです。

余白時間の振り返りが
子どもたちにもたらすもの

 また、余白の時間に友達や親、先生などの大人とのコミュニケーションなどを振り返ることで、相手の気持ちを想像できる人にも育ちます。

 今日の学校で、自分は反発してしまったけど、友達はこちらのことを思って指摘してくれたのかもしれない。いや、やっぱり友達がわがままだったと思う。だから、こちらから厳しく当たってしまったのは仕方ない。でも、明日以降も気まずいのはイヤだから、こっちから仲直りしようかな、とか。