アクティビストが突き付ける「上場ファミリービジネス」の盲点…家族×企業の強みを活かすガバナンスの勘所写真はイメージです Photo:PIXTA
*本記事はきんざいOnlineからの転載です。

上場企業の約半数がファミリービジネス

 上場しているファミリービジネスは、コーポレートガバナンスの点で非上場ファミリービジネスにはない複雑な問題と固有の論点を抱えている。ガバナンス改革は、2015年にコーポレートガバナンス・コード(CGコード)が制定されて以降、推進されてきたが、上場ファミリービジネスの固有性を考慮してガバナンス高度化に取り組む企業はあまり見られない。

 上位10株主に代表者(会長または社長)と同じ苗字を含む株主がいる場合、所有と経営が一致している可能性が高く、ファミリービジネスとしての特徴を持っていると考えられる。この基準で見ると、東京証券取引所(プライム、スタンダード、グロース市場)上場企業3,801社のうち、実に約半数の1,858社がファミリービジネスに該当する(24年8月時点)。

 上場ファミリービジネスは、一般企業と比較してパフォーマンスが良いとする分析も多く、創業家企業の株価パフォーマンスが東証株価指数(TOPIX)比でプラス3割程度とする調査(注1)などがある。このように「迅速果断な意思決定」「長期志向の経営」「創業精神の承継」といったファミリービジネスの強みは、資本市場でも評価されている。

 一方、創業家のエントレンチメント(保身)により企業のパフォーマンスが損なわれているとする調査(注2)もある。上場ファミリービジネスの強みを伸ばし持続的な企業価値向上を実現するためには、ファミリービジネスの課題を抑制するためのガバナンスを設計することが重要である。