「ポジティブはネガティブから生まれる」ミセス大森元貴の創作哲学がグサッと刺さるミュージシャン、俳優・大森元貴さん 写真提供:NHK

3人組バンドMrs. GREEN APPLEのボーカル・ギター大森元貴さんが朝ドラこと連続テレビ小説『あんぱん』(NHK)に出演。演じるのは童謡「手のひらを太陽に」(1961)や「見上げてごらん夜の星を」(64)など数多くのヒットソングの作曲家・いずみたくさんをモデルにした、いせたくや。嵩(北村匠海)にとって重要な存在だ。音楽と演技の共通点や創作への思い、柳井嵩役の俳優・北村匠海さんとの共鳴についてなどを聞いた。(聞き手・構成/ライター 木俣 冬)

朝ドラ出演オファーのきっかけとなった
演劇仕立てのライブ

 嵩はいせたくやのミュージカルの舞台美術を担当したことをきっかけに「手のひらを太陽に」の作詞を手掛けることになる。

 いせと大森さん、音楽を生業とする者同士、親和性があるのだろうか。また、2025年に映画『#真相をお話しします』で初主演をつとめた大森さんが俳優をやるおもしろさや、同世代の北村匠海さんに感じる共通点は?

 清明で元気をくれる歌をいつも届けてくれる大森さんの活動の源泉は意外にも「ネガティブ」だという。

 大森さんが朝ドラに出るきっかけは、Mrs. GREEN APPLEの演劇仕立てのライブだった。24年の3月、制作統括の倉崎憲さんはこのライブを見て、すぐさま『あんぱん』出演のオファーをした。

「曲と曲の間に芝居が入るような音楽劇的な構成になっていて。そのときの大森さんの間の取り方や佇まいなどに惹かれるものがあって、大森さんの芝居をもっと見たくなったんです。

 いせたくや役はやっぱり実際に曲を作っている方がいいと思いました。生涯で1万5000曲以上作曲されたいずみたくさんと、(24年に)新曲を5カ月連続でリリースされたMrs. GREEN APPLEさんに共通するものがあるような気がして。また、年代問わず多くの人にちゃんと届くメロディを作っている大森さんといずみさんがリンクする部分もある気がしました」

 倉崎さんの勘は的中し、撮影を見学に訪れたいずみたくさんのご親族が、いせたくやのシーンを見て涙していたという。