
日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月曜から金曜までチェックし、当日の感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年続けてきた著者による「見なくてもわかる、読んだらもっとドラマが見たくなる」そんな連載です。本日は、第91回(2025年8月4日放送)の「あんぱん」レビューです。(ライター 木俣 冬)
のぶと嵩
バランスの良い2人の日常
『あんぱん』も残り2カ月。ようやく夫婦の物語になってきた。そろそろ気になる、『アンパンマン』はいつ生まれるの?
第19週「勇気の花」(演出:橋爪紳一朗)は昭和23年(1948年)2月。くら(浅田美代子)が亡くなり、のぶ(今田美桜)は葬儀で高知に戻っていたが、すぐに東京に戻ってきた。
葬儀に代議士・鉄子(戸田恵子)から花が届き、それはそれは誇らしかったことだろう。
その間、世良(木原勝利)は独立して、鉄子の事務所を去っていた。くらのナレ死に次いで、ナレ退場。世良の「30秒だけ時間をあげます」をもう1回聞きたかった。
柳井のぶは議員秘書になった。
のぶと嵩は結婚して、シーソーのバランスが良さそうだ。
三星百貨店の宣伝部で嵩(北村匠海)も頭角を現していた。もともとセンスは良いし、やりだすと早いし的確なのだろう。こういう仕事が向いているようだが、当人は漫画に未練がある。職場で内職? 4コマ漫画の原稿用紙を取り出して眺めていると、仕事が入ってきた。
部下の内職を叱るのではなく、さりげなく仕事を与える出川部長(小田井涼平)の上司としての振る舞いはすばらしい。
部長が嵩に任せたのは、三星劇場にかかる演劇のポスターの仕事だった。