「自分の好きなことがわからない」「人に合わせすぎて疲れてしまう」と感じる人は少なくない。職場や学校、家庭で求められる役割に応えようとするあまり、自分の感情を押し殺してしまうこともある。そうした悩みを抱えたときに、心が軽くなる本として、幅広い世代から支持を集めているのが、『大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをした』(クルベウ著・藤田麗子訳)だ。精神科医さわ先生に、本書を通して見えてくる「自分の人生を生きる」ためのヒントを聞いた。(取材:ダイヤモンド社・林えり、構成・文:照宮遼子)

「周りに迷惑をかけないように」生きてきた人が抱える生きづらさ
――小さい頃から親や周りの目を気にして、「迷惑をかけないように」意識して生きてきた人ほど、自分らしくいることが難しいように感じます。「自分は自分の思うままに生きていいんだ」と思えるようになるには、どうすればいいのでしょうか?
精神科医さわ(以下、さわ):まずは、「自分は他人の目を気にして生きてきたんだな」と気づくことが大事です。気づかないまま振り回されている状態が、いちばん苦しいんです。
――たしかに、自分のやりたいことがわからずに、周りの人がどう思うかばかり気にしていると、生きること自体がつらくなっていきそうですね。
さわ:私たちの社会は、そもそも競争や評価の文化が根強くあります。だから、成績や成果で自分の価値を測ってしまうのは、ある意味当然のことです。でも、本当はどんな自分でも、存在そのものに価値があることをまずは知ってほしいですね。
自分に価値を感じられなくなったときに、自信を取り戻すヒント
――「そのままの自分に価値がある」と気づくためには、どんなふうに自分に接していけばいいのでしょうか?
さわ:まず「自分に向ける言葉」を変えていくことが大事です。たとえば、うつ病で苦しんでいる患者さんが自分を責めてばかりいるようなときに、「もし、あなたの大切な人が、今のあなたと同じようにすごくつらいのに、でも頑張らなきゃいけないと思いつめていたとしたら、あなたは何と声をかけますか?」とたずねることがあります。
そうすると、大切な人が相手だったら、「無理しないで」「休んでいいよ」と声をかけるって言うんですよね。大切な人には「それでも頑張れ」なんて、絶対に言いません。だからこそ、大切な人にかけてあげられる言葉を、ぜひ自分にもかけてあげてほしいんです。
このように、「自分に優しい声がけをする練習」をしていくことが、「そのままの自分を受け入れる」ことにつながっていきます。
