結局、ストラテジックキャピタルは、ダイドーリミデッッドに対して「取締役会を再編し、新体制で事業の再建及び健全なガバナンス体制の構築を実現すること」につながる候補者であると、事業再建に向けた取り組みであることを強くアピールし、3名の取締役を送り込むことに成功します。
取締役を送り込んだ直後に
全株を売り抜ける事態に
しかし、これからストラテジックキャピタルが送り込んだ取締役がダイドーリミテッドの再建に尽力していくかに見えた矢先、事態は急変します。
2024年7月4日18時40分にダイドーリミテッドは突如として50億円の自社株買いと、2025年3月期から2027年3月期までの3年間において1株当たり年間100円の配当を実施することを公表しました。合計で130億円規模となる大規模な株主還元です。
ダイドーリミテッドはこれから本業の立て直しをしなくてはならないものの、必要なコストや投資額はこの時点ではわかっていません。にもかかわらず、株主への大規模な還元だけが優先されるのというのです。
なぜ突如としてこのような大規模な株主還元の実施を公表したのでしょうか?
その後、ダイドーリミテッドの株価は、2024年7月4日の終値が945円に対して、7月5日は始値が1095円、高値が1095円、安値が1070円、終値が1095円となりました。
出来高は、7月4日が170万6700株に対し、7月5日が1505万5500株と、ストラテジックキャピタルが保有する886万9000株(4月2日に提出した変更報告書に記載の株数)を超えました。そのため、ストラテジックキャピタルが保有株を売却した可能性が高い状況と言えました。
実際、ストラテジックキャピタルは7月12日に変更報告書を提出し、保有株数が100になったことが判明します。大規模株主還元公表の翌日である7月5日にほぼ全株を市場で売却していました。
なお、7月8日にストラテジックキャピタルは、自社のホームページで「ダイドーリミテッドの株主還元は我々が提案したものではない」と主張しました。