しかし実は、ストラテジックキャピタルは旧村上ファンドの創業メンバー(丸木強氏)が立ち上げた投資会社で、2024年3月末のダイドーリミテッドの大株主を見ると、旧村上ファンドグループの1社である南青山不動産も含まれています。ストラテジックキャピタルと縁のある旧村上ファンド(南青山不動産)も、ダイドーリミテッドに投資していたのです。
さまざまなマスコミ報道によると、村上世彰氏がダイドーリミテッドに株主還元に関する提案をし、ダイドーリミテッドが受け入れたという背景のようです。南青山不動産も、ストラテジックキャピタル同様に全株を売却しています。
虚実ないまぜのリークで
株価を操るヘッジファンド
続いて、次のニュースをご覧ください。
ブルームバーグによる「エリオット、三井不に自社株買いとオリランド株圧縮要求――関係者」という記事(注1)です(このケースでは株主総会での「株主提案」をしたわけではありません)。
この記事は2024年2月5日の11時37分に公開されたものですが、同日の三井不動産の株価は始値が3698円、高値が4100円、安値が3636円、終値3907円でした。ちなみに、前営業日2月2日の終値は3666円でした。
このニュースは事情に詳しい関係者が匿名を条件に明らかにしたようですが、このニュースが株価に影響したことは明らかであり、もしエリオットが追加で三井不動産株の買い増しを検討していたとしたら、迷惑な話でしょう。取得コストが上がってしまいますから。
(注1)アクティビストとして知られる米ヘッジファンド運営会社エリオット・マネジメントは、三井不動産の株式の少なくとも2.5%を取得し、同社に対して1兆円相当の自社株買いのほか、保有するオリエンタルランド株の持ち分を減らすよう求めた。事情に詳しい関係者が、匿名を条件に明らかにした。エリオットが三井不の経営陣に対し、最近提示した要求では、同社が保有するオリランドの株式36億ドル(約5340億円)相当を売却を通じて減らすことも含まれるという。エリオットの要求については、英紙フィナンシャルタイムズ(FT)が先に報じた。報道を受け、三井不の株価は前日終値比一時12%上昇し、上場来高値を更新した。一方、オリランド株は一時4%下落した。ブルームバーグのデータによると、三井不はオリランド株を約5.4%保有している。