私は、何もアクティビストの行動を非難しているのではなく、「アクティビストに期待しすぎてはいけない、彼らの目的は株価を上げて儲けることのみだ」ということをそのほかの投資家はよく認識すべきだ、と言いたいだけなのです。
アクティビストの行動原理を
把握したうえで投資判断すべし
その昔、あるアクティビストが「お金儲けは悪いことですか?」と言って批判されたことがあります。しかし私は、実際に批判されたのは、お金儲けという行為ではないと考えています。
ダイドーリミテッドにおけるストラテジックキャピタルの一連の行動についても同じです。実は誰もお金儲けをしたことを批判していません。
ストラテジックキャピタルは、あんなに声高に、新聞広告まで使ってダイドーリミテッドの事業の再建と言っておきながら、大規模株主還元を公表した翌日にほぼすべての株式を売却しました。ダイドーリミテッドに対して主張した事業の再建の道筋すらまだ見えていないのに。
主張していたこととやったことのあまりの違いを批判しているのです。
このように、「何のために可決される可能性がかなり低い株主提案をするのか」「何のために取締役を送り込もうとしているのか」「株価が上がり買いにくくなるのに、何を目的に誰がリークをしているのか」といったことを考えたうえで、投資判断を行う必要があるということです

アクティビストは市場の番人でもなければ、正義の味方でもありません。ましてや一般投資家と目線を同じにしたり、ともに利益を上げたりする存在ではありません。
生き馬の目を抜く株式市場でただひたすらにおのれの利益の実現を求めている集団だということを投資家は肝に銘じて投資をしたほうがよいということです。
アクティビストに追随して投資をする場合、いろんな事象を多面的に考える必要があります。アクティビストの行動に期待してコバンザメ投資をしたけれど、投資をした時にそのアクティビストはもういないという笑えない事態も想定されるのですから。